2021.06.21
# DX
「ハンコのデジタル化」をDXと呼んではいけない!日本人が誤解している「DXの定義」
今、空前のブームとなっているDX(デジタルトランスフォーメーション)。しかし、その本質を理解している人は少ないだろう。シリコンバレーを拠点に活躍する起業家で、著書『いまこそ知りたいDX戦略』を出版した石角友愛氏によれば、日本ではデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォメーション(DX)の3つが混同されているという。この3つはどう違うのだろうか。そしてDXの本質とは?
3つの違いを明確にしよう
日本では、(1)デジタイゼーション(Digitization)、(2)デジタライゼーション(Digitalization)、(3)デジタルトランスフォメーション(DX)を混同している人が多い。というよりも、この3つをすべてまとめてDXと言ってしまっている。

ここで説明するのは、単に言葉の意味だけではない。この3つの段階の概念を明確にすることは、DXの本質を理解することにつながるはずだ。
まず、デジタイゼーションとは、「アナログからデジタルへの移行」を指す。
IT業界で著名なアナリストであるジェイソン・ブルームバーグは、デジタイゼーションについて以下のように述べている。
「デジタイゼーションとは、アナログ情報を取得して0と1にエンコードし、コンピューターがそのような情報を保存、処理、および送信できるようにすることだ。たとえば、手書きまたはタイプで書かれたテキストをデジタル形式に変換することは、デジタイゼーションの例であり、LPまたはビデオからVHSテープから音楽を変換することも同様である」
ここでもわかるとおり、デジタイゼーションとは、ツール導入による手作業の自動化やペーパーレス化などを指す。日本で議論されてきた「ハンコのデジタル化」などは、このデジタイゼーションの段階である。デジタイゼーションを導入する対象は、主に社内の作業工程(会計、営業、カスタマーサポートなど)が当てはまる。
ただし、このデジタイゼーションでは、省人化、最適化することによるコスト削減がメリットになり、今までに存在しなかったシナジー効果などを期待できる段階にはない。