これを打てば、すべてが解決する。今、日本にはそんな空気が充満している。まるで私たちにとって「最後の望み」のように持て囃されるワクチンだが、本当の効用は果たしていかほどなのだろうか。
我慢した甲斐はあるか
早急なワクチン接種に懐疑的な専門家がいる一方、かつての自由を求め、接種を選択する人も多い。
このまま猛烈なスピードでワクチンを打った人が増えれば、私たちの生活の何が変わるのか。
本誌はゼロからその疑問に答えるべく、コロナに詳しい現役医師に、ワクチン接種後にマスクを外していい場面/まだつけなければいけない場面を聞いた。
まず、多くの人にとってなによりの「朗報」となる知らせがある。ワクチン接種者が増えれば、散歩などの外出時には、マスクをつけなくてもよくなることだ。
昨年来、私たちのストレスになってきたのは、外出時のマスク着用だった。

マスクを忘れて外に出た瞬間、周りの人たちから罪を犯したかのように冷ややかな目を向けられる。その視線に耐えられず、自宅へと戻った人も多いだろう。
「ワクチン接種が進めば、自宅から近い場所へ出かける際にはマスクをつけなくても大丈夫です。
そもそも、長引く自粛生活で、日本人は必要以上に自重することが習慣化していました。ですが本来ならば、外気に触れ人との距離が保たれている場所であれば、感染リスクは低いのです。
ワクチン接種者が増えることで心理的な安心感が広まり、同時に過剰な『自粛警察』は少なくなっていくでしょう。そうなることで社会の雰囲気はずいぶん変わっていくはずです」(浜松医療センター・感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師)
それだけではない。昨年の緊急事態宣言下、多くの人々が旅行を我慢してきた。