2021.06.09
# 中国

中国で、若者の「世捨て人」化=「タンピン主義」が大議論を巻き起こしていた…!

「寝そべり大先生」への共感
中島 恵 プロフィール

現在の風潮とは、超ポジティブ思考でなければ生き抜けない中国社会そのものを指しているようだ。中国共産党は7月に創建100年を迎える。今、着々とその準備が進められており、従来以上に共産党統治の正当性をアピールするスローガンがあちこちで見られるし、共産党の聖地といわれる都市に全国の高校生などを動員して「共産党はすばらしい」という「愛国主義教育」の刷り込みに躍起になっている。対外的にも米国と対等に渡り合い、ワクチン外交を行い、「中国の夢」を実現させるべく突き進んでいるように見える。

だが、燦然と輝いているはずの母国で、自分たちが小さな幸せを感じられないのはなぜなのか、といった複雑な思いが彼らの心の内にあり、努力しても達成できないことがあまりにも多いことが、逆にすべてを投げ出すこと=無気力感につながっているのではないか、という推測だ。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

また、昨年、中国で流行語になった「内巻」(ネイチュワン)からの反動だという分析もあった。「内巻」とは、「不条理な内部競争」や「内部消耗」のことをいう。たとえば、学校の先生が5000文字の論文を提出するように学生たちに要求すると、学生たちは「優」をもらうために、誰にも何もいわれないのに、自ら1万字の論文を書く、といった風潮だ。

中国のネット上には、「内巻」で勝ち抜くためには、自転車に乗っている時間すら無駄にしてはいけない。車輪を漕ぎながら勉強するのだ、といった話がよく載っている。

そんな苛烈な社会の風潮についていくことに疲れ切り、それに抵抗して「これ以上がんばりたくない」「自分は世捨て人になりたい」「自ら進んで離脱してやろう」といった気分になっているのではないか、というのだ。

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