『ドラゴン桜』キンプリ高橋・加藤清史郎の配役にみるTBS学園ドラマ「金八」遺伝子

宝泉 薫 プロフィール

「金八」スター輩出システムの確立

「金八」の第1作がスタートしたのは、79年の秋。「十五歳の母」という衝撃的なテーマが話題を呼び、半年後の最終回は39.9%という視聴率を記録した。主題歌「贈る言葉」も大ヒット。そして何より、ここからは多くのアイドルが生まれた。

たのきんトリオ(田原俊彦、近藤真彦、野村義男)に三原じゅん子(当初は順子)、つちやかおり。また、杉田かおるや鶴見辰吾、小林聡美は役者としてステップアップした。これを機に、このシリーズのスター登竜門としてのブランド化が始まるわけだ。

TBS Paravi 公式サイトより

続く「1年B組新八先生」はやや地味だった(それでも、生徒役だった見栄晴が2年後にブレイクした)が、80年秋から翌春にかけての「金八」第2作が再び社会現象を巻き起こす。

校内暴力や非行を中心テーマに据え、竹の子族出身の沖田浩之や「腐ったミカン」と呼ばれた加藤優役の直江喜一、自閉症気味で加藤に憧れる役を演じたひかる一平が人気者に。終盤の視聴率は30%を超えた。

そして、81年春からは「2年B組仙八先生」。一年間という長尺で放送され、シブがき隊(薬丸裕英、本木雅弘、布川敏和)や三田寛子、本田恭章が巣立つこととなる。

つまり、81年は「金八」スター輩出システムとでもいうものが確立して、その勢いがピークに達した年だった。

前年に田原、近藤、三原が歌手デビュー。その成功に続けということで、3月に沖田、5月にひかる、9月に直江がレコードを出した。また、この夏には、第1作の卒業生・杉田が歌った「池中玄太80キロ」(日本テレビ系)の挿入歌「鳥の詩」がヒットしている。

さらに、このデビュー&ヒットラッシュのなかで最も重要な存在が伊藤つかさである。9月に発売されたデビュー曲「少女人形」がオリコンで最高5位を記録。この年を象徴する女性アイドルとなった。というのも、松田聖子・河合奈保子らの80年組、中森明菜・松本伊代らの82年組の狭間で、この年は女性の新人アイドルが不作だったからだ。

しかも、彼女はメインの生徒役ではなかった。前半で一度、ヒロインの回があったが、全体としては目立たない存在。もともと人見知りを直すために「劇団いろは」に入り、子役時代から地味に活動してきたということもあって、レコードまで出すことになった突然の人気に戸惑ったという。

「ところが、どうしたことか曲がヒットしてしまい、またまた困りました。(略)アイドルというのは、私のようなタイプではなくて、もっとキラキラした、華やかな雰囲気を持っている人だと思っていたんです」(「語れ!80年代アイドル」KKベストセラーズ)

 

ただ、彼女のブレイクは別のムーブメントと連動していた。ロリコンブームだ。吾妻ひでおの漫画や幼女・少女をモデルにした写真集のヒットにより、王道よりもあどけないアイドルがウケる状況ができていて、そこに彼女がハマったといえる。

14歳でのデビュー、低身長、童顔、童謡チックな歌、セーラー服などなど、その世界観はある意味、最近の萌え系漫画やアニメに通じるものだ。

さらに、そのあどけなさを強調することになったのが法律だ。労働基準法により、15歳以下は夜9時以降の仕事ができなかったため「ザ・ベストテン」(TBS系)には等身大のパネルで登場。こうしたイレギュラーなスタンスがますます注目度を高めたわけだ。

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