「本気で続けてみよう」と感じた
『繕い裁つ人』のロケ

高校受験のときは、「進学したら、芸能界はやめよう」と漠然と思っていた。そんな中、たまたま映画『繕い裁つ人』のオーディションに合格し、マネージャーも家族も、誰も付き添いが誰もいない中で、全編地方ロケに参加する。

「たった一人で、永野芽郁として参加した初めての現場でした。寂しくなったこともあったし、体調を崩して、しんどいときもありましたが、主演の中谷(美紀)さんの作品に対する姿勢や現場での過ごし方に、なにか圧倒されたというか……。ものすごく凛としていて、現場の端にいるときでも、そこだけ光っていて、そこが中心になっている感じ。放出しているエネルギーが、普通の人と全然違う。なのに『私ってすごいのよ』ってアピールしない。目に宿る光というか力が、とにかくすごいんです。

あの集中力は、真似しようと思ってできるものじゃない。本当に『美しい』としか言いようのないエネルギーをまとっていたし、人間の持つ底知れないパワーを間近で感じられた。私自身、『ちゃんと最後までやり遂げなきゃ』という責任感みたいなものを、初めて感じることができました。いつか、自分がもし主人公を演じられるときがきたら、こういうふうでありたいな、と。この仕事を本気で続けてみようという気持ちになったのはそのときです」

憧れる気持ちを自分の原動力にできること。それらもまた、俳優に必要な才能なのかもしれない。

撮影/山本倫子
 

自分がされて嫌だったことは、人にはしない

「いいことも嫌なことも、強く心が動いたときのことは、ちゃんと覚えておこうと思っています。それぞれ育ってきた環境が違うから仕方がないんですが、『なんでそういう言い方するんだろう?』って、ちょっとしたコミュニケーションの中で、気持ちがギュッと萎縮してしまうようなこともありましたけど、ポジティヴに考えたら、それも一つの学びというか。自分がされて嫌だったことは、人にはしないとか。逆に、自分がすごく感動したことは、私よりももっと下の人たちにも伝えていきたい

こんなことを言うのは生意気かも知れないですが、もし、私がいつか凛としたエネルギーを身につけられたら、絶対に後輩たちも、何かを感じ取ってくれると思うんです。だったら今は、そう感じてもらえるぐらい努力したい。やるだけやって出来なかったら諦めればいいだけ。お芝居も、ずっと上手くなりたいと思いながら、どうやったら上手くなるのか全然分からないんです。でも、上手くなりたいって思う気持ちが大事で、相手役の人に、気持ちで負けたくないと思うとか……。自分がやりたいお芝居に対しては、ものすごくがむしゃらに向き合っていきたいです」