家主の側も、例えば、近くに近親者のいない一人暮らしの80代の高齢者に部屋を貸した場合、もし部屋の中で孤立死して日数が経過してから遺体が発見されたりしてしまうと、原状回復費用がかかったり、場合によっては再募集の際に告知義務の問題などがあり、新規の入居者が決まりづらくなったりする。
ほかにも、入居者が認知症などになってトラブルが発生した場合、その解決費用の負担が家主側にもリスクになる可能性がある。それゆえ、なかなか「気持ちの上では貸したくても貸しづらい」という事情がある。
今は、「孤立死(孤独死)保険」などもあり、孤立死の負担を保険でカバーするということもできるようになってはいるが、原状回復費用以外の問題もあるため、なかなかそう簡単にはいかないことが多いのが現状だ。
「家を買うな」と言うけれど
賃貸vs持ち家という構図のなかで、少なくない評論家が「家は買ってはいけない」という意見を表明することがあるが、その真意は、例えば郊外・駅遠の広い新築一戸建てなどをあまり頭金を入れないで買ってしまった場合、何か事情があってその家を売却しなくてはならない場面が訪れた場合、売りづらくなり、結果的に一生その家に縛られ、場合によっては住宅ローン破綻してしまうリスクがある、ということだと思う。
「家」と一言でくくられるが、「大都市部も地方も」「都心も郊外」も「駅近も駅遠」も「一戸建てもマンションも」「新築も中古も」「専有面積が80㎡も60㎡も」一緒くたにされていることが多い。
しかし、例えば「郊外、駅遠、80㎡」と、「都心、駅近、60㎡」では、リスクが全然違う。また「新築と中古」「一戸建とマンション」も違い、「都心、駅近、60㎡」のなかでも、「沿線力」、「駅力」、「エリア力」などによっても変わってくる。