2021.06.23

不動産のリアルを見てきた私が「賃貸に住み続ける」ことを強く推せないワケ

本当にずっと住み続けられますか?

高齢者の住宅難民リスク

身寄りのない独居高齢者の住居探しや、孤立死(社会から孤立した状態で亡くなり、死亡したことが長期間誰にも気付かれなかった状態)、認知症等のトラブル処理などを実際に経験したことがないと思われる評論家などが、データなどの数字を見て、

「現在、賃貸市場は空室が多い『借り手市場』なので、貸主は入居者の獲得に必死である。今後到来する人口減少社会を考えると、今よりもっと空室が増えることは確実だ。高齢化の加速で、借り手が高齢者のパターンも多くなる。だから高齢者には貸さないと言っていられなくなるだろう。よって、将来は高齢者が部屋を借りやすい時代になるに決まっている」

との見解を示すことがよくある。

 

実際に高齢者でも部屋を借りやすい世の中になってくれればいいと思うが、その根拠は希望的観測によるものが多く、「きっとそうなるだろう」という個人的意見の場合も多いと思われる。

数年前から、そのような意見はあったが、少なくとも現在においては、まだまだ不十分であり、決して満足できるような状況ではない。

なかには一般にもそういったことを言う人がいるが、そういう方に「もし賃貸住宅を所有していたとして、そこに身寄りのない一人暮らしの80歳代の方を入居させるか?」と聞いてみると「個人的にはやっぱり躊躇する」と本音を漏らす人もいる。

今日もあちこちの賃貸住居探しの現場では70歳代後半や80歳以上の単身高齢者の転居先の物件探しが難航している。 

〔PHOTO〕iStock

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