賃貸仲介担当者が数十件の家主や賃貸管理会社に電話をして入居可能な物件がないか探しても、入居を断わられ続け、なかなか物件が見つからない。探してくれる会社はまだいいほうで、探すことすら最初から尻込みされるケースも少なくない。
がっかりと肩を落として帰って行く高齢者を見るのは本当につらいものだ。
「賃貸派」が念頭においておくべきこと
一時的に一定期間を賃貸で過ごすということであればよいのだが、このように実際に一人暮らしの高齢者が入居しにくい現実や家主の苦労を目の当たりにしていると、すべての人に「一生賃貸という選択もある」と、一緒くたにアドバイスすることはできない。
もし、本当に「一生賃貸」を選択するのであれば、こうした現実もあるということを理解の上で、自分の老後の住居をどうするかについては、自分で考えておく必要がある。
また、内閣府の「平成25年版 高齢社会白書」によると、全国の65歳以上の男女への質問で、「治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいか」については「自宅」が54.6%と半数を超え最も高く、延命治療の希望については、延命治療は行わず「自然にまかせてほしい」と回答した人が91.1%と9割を超えている。
夫婦であっても、配偶者に先に旅立たれると、残されたほうが、一人暮らし、すなわち単身高齢者になる。
最後は独りになることが多いので、この高齢になったときの住居の問題は、きちんと考えておかなければならないテーマの一つだ。