2021.06.27
# インフラ

水に恵まれた日本でついに始まる「水道民営化」…待ち受ける「大きな落とし穴」

水道水を直接飲める国でいられるか?
鷲尾 香一 プロフィール

海外では失敗例も

例えばフランスでは、パリ市の水道事業が民営化され、1985年から2009年の間に水道料金は約3倍に跳ね上がった。パリ市は水道料金の決め方が不透明などの理由で、2010年に水道事業を再公営化している。

「南アフリカ史上最悪の事件」と呼ばれる約25万人のコレラ感染は、水道事業を民営化したことで水道料金が急上昇し、水道料金を払えない貧困層1000万人以上が汚染された川の水を飲料水としたことなどにより起きた。南アフリカは結局、水道事業を公営に戻した。

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米国のアトランタでは、水道を運営する民間企業がコストカットを徹底したために、水道管の破裂や水質悪化が相次いだ。

こうしたケースはあくまでも異例だ。しかし、水道事業が民間運営になることで、採算性や利益水準によっては、水道料金が上昇する可能性は非常に高いし、水道水の品質や安全性が低下する可能性があることは否定できない。

もちろん水道法では、水道料金を条例で定めた範囲内でしか設定できないようにし、国は水道料を含めた事業計画を審査し、不当に高い料金設定をしていないか検証することになっている。

だが、水道事業を1度民間企業に委ねてしまえば、その監視は難しくなる。パリの水道事業が再公営化されたのも、民間運営への監視が適切にできなかったためだ。

そして、もし、水道事業を運営する民間企業が経営危機に陥れば、事業が停止、すなわち水の供給がストップしてしまうケースもあり得る。

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