マンガ/伊藤理佐 文/FRaUweb

選択的夫婦別姓は認めない

6月23日、最高裁大法廷決定で、夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定を「合憲」と判断した結論が出た。
夫婦同姓を定めた民法750条には「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」という規定がある。そして戸籍法74条「婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない」の1号には「夫婦が称する氏」と書かれている。

ちなみに憲法24条では、次のように定められている。

1)婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2) 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

今回最高裁は、「民法750条と戸籍法74条1号はこの憲法24条に違反しているではないか」という訴えを退けたのだ。

この決定に、最高裁の中でも違憲としたのは、最高裁判官15人中4人だけ。なぜ合憲なのか、という理由は、「憲法24条1項は、婚姻を当事者間の自由で平等な意思決定に委ねている。当事者が姓を改めたくないと考え、夫婦同姓が意に反するとして婚姻しないことを選ぶことがあるとしても、夫婦同姓の規定が憲法24条1項に違反するとはいえない」と、なっていた。

ううむ……。選択的夫婦別姓って、ただ選択肢を増やそうよ、という話のはずなんだけど、姓を同じにしたくない場合は婚姻しない選択をしろ、と言っている……。

 

大切なのは日々の生活

そんなモヤモヤした気持ちを抱えている中で読み返したのが、伊藤理佐さんの『おいピータン!!』4巻1話の「告白」である。

「おいピータン!!」シリーズは、現在は『おいおいピータン!!』と名前を変えて「Kiss」で20年以上連載されているオムニバスショートコメディで、講談社漫画賞少女マンガ部門や手塚治虫文化賞短編賞などを受賞している。「食べる」ことを中心に、人生様々な「あるある」を描き出し、笑いながらちょっと胸がチクッとしたり、目から鱗の気づきを得たりすることができるのだ。

「告白」は、主人公の父親の入院報告から物語は始まる。青ざめる主人公。しかしそれは命にかかわるような理由で入院したからではない(理由は骨折)、父親には、入院したときに「今まで隠していた何か」を告白する癖があったのである。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』4巻より

以前は、実は消費者金融にお金を借りていたこと(返済期限が入院期間中だった)、その次は一度だけ浮気してしまった告白(これはしなくてもよかったのでは)。では今回は……。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』4巻より

果たして、父親は他人から見たら「くだらない」ことを告白する。思わずぷっと笑う主人公。しかし、借金のときより、浮気の時より、母は一番怒ったのだ。それは、毎日母が父のために朝ご飯のときにやってきたことをくつがえす告白だった……。つまり、何より大切なのは毎日の生活だったのだ。

姓を同じにして、家族の一体感をもちたい。そういう意見も当然あるだろう。しかしだからといって「姓が同じだったら夫婦になれる」ということではないはずだ。姓が同じでなくても、毎日をお互いに思い合って過ごしていくこと。その日々の積み重ねが「夫婦になる」ことにつながるのだというごく当たり前のことを、「告白」は教えてくれるのである。