2021.07.08
# マンガ

半年余りで1500万部超の大増刷。今なぜ『東京卍リベンジャーズ』がアツいのか。

担当編集者を直撃した
飯田 一史 プロフィール

渋谷ジャックが転機に

次に大きく潮目が変わったのは2020年の「渋谷ジャック」だ。渋谷で原画展と大々的な駅貼り広告、そしてSHIBUYA TSUTAYAでのポストカードプレゼントキャンペーンの3イベントを約1か月のあいだに連続で実施。これをきっかけにさらにファンの熱が高まり、読者層が広がった。

「渋谷ジャック」の際に掲出されたピラー広告。 ©和久井健/講談社

「『東京卍リベンジャーズ』にはもともと成人男性に次いで、少なくない数の女性読者もいたんです。その方たちが渋谷ジャックの際にポストカード目当てにコミックスをもう一度買ってくださったり、『マガジン』本誌やアプリの『マガポケ』で追っていた読者が単行本を揃えてくださったりして、シブツタさんの1店舗だけで8000部超売り上げる良い数字になったと聞いています。

店頭でも良いスペースを取ってくださったので新規の読者もたくさん生まれて、それが他の書店さんにも伝わって全国的に取り扱いがどんどん増えていきました」

 

2020年末からアニメ放送前の21年3月までには女性読者がさらに増え、また男性読者は10代にも広がっていった。冒頭に書いたとおり、アニメ放映以前にすでに700万部売れていたのである。

著名VTuberが動画で取り上げるなど、講談社主導のプロモーションを超えて、いわば勝手に広まるフェーズに突入――した段階でTVアニメが始まった。

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