メガバンクに勤める副業サラリーマンが、どうしてもやりたかったこと

自信はなかった、だから必死で勉強した

副業に活かせそうなスキルがない――そこからの起業

――コーチングに至るまでにもいろいろあったのですね。

仲本 最初は在留外国人の事務手続き支援事業を行おうとしました。たとえば外国人が家を借りたいとか、銀行口座を開設したいとか、そういった日本特有の複雑な手続きに課題を発見したことから事業の発想を得ました。結局はリリースしませんでしたが……。

副業で私がしたかったのは「何かで人の役に立ちたい」ということでした。ありふれた表現で漠然としているかもしれませんが、発想が抽象的で、業界にしばられない思考ができたからこそ、かえっていろいろな事業を見ることができたと思っています。

――最初からうまくいった副業ではなかったのですね。

仲本 だからこそ必死に勉強して、たとえば「社会性があって」「市場規模が拡大していて」「初期コストがかからない」の3点を押さえて起業することが望ましいということも見えてきました。

さまざまな業界の市場調査をしたり、起業家の諸先輩方にフィードバックを頂いたり、ベンチャーキャピタルのプログラムを受講したり……と試行錯誤の末、コーチング市場が成長を見込めると判断して、株式会社スパイサーを立ち上げました。

Photo by iStock

――はじめからコーチングをやろうと考えていたわけではない、と。コーチングに出合えたのは偶然の要素が大きいのですか。

仲本 そうですね。偶然だからこそ、振り返ってみると怖いなと思う部分もあります。私は、起業自体にも怖さを感じていましたが、実は一番怖かったのは、起業をして市場に出ても自分のやりたいことが見つからないかもしれないという点でした。

でも、起業をすると決意し、自社の強み弱みを分析する中で、開発効率の良い「ノーコード開発」を会社に取り入れました。サイトなどの元となるソースコードを書かなくても(ノーコード)、ウェブサービスやソフトウェアが開発できるという開発手法ですが、いち早く取り組んでコーチとクライアントのマッチングシステムの構築に活かしました。業界でも最も早いと思います。

――少し気になったのですが、副業に活かせそうなスキルはもともと持っていらっしゃらなかったのでしょうか。

仲本 好奇心は強い性格かもしれませんが、スキルはなかったです。たとえばエンジニアが持っているような「開発能力」みたいなものはなかった。なので、一からWebマーケティングやノーコード等を必死に学びました。