「デフレバブル」崩壊! 目先の浮利に走った人々はどうなる?

実はデフレが既得権益を鉄板にした

1980年代のバブルと同じ構図

6月24日公開の「多くの人が知らない…メディアや評論家が『ネガティブ情報』を発信し続けるワケ」の冒頭で述べたような「ネガティブ志向」が蔓延する現在と、「熱狂・狂乱の時代」と呼ばれる「80年代バブル」が似ているなどと言うと、「正気か?」と思う読者が少なくないと思う。

体験していない若い読者が、この「バブル時代」を理解するためには、「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」が良いと思う。阿部寛、広末涼子、薬師丸ひろ子などが出演した。「私をスキーに連れてって」で有名なホイチョイプロダクションの作品である。

「私をスキーに連れてって」が1987年のバブル絶頂期、「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」は、日経平均がバブル後最安値をつける前年である2007年の極めて「憂鬱な時代」の作品であるから、両者を比べてみると「バブルとはどのようなものであったか」がよくわかると思う。

このように「狂乱・熱狂」のバブル時代であったが、デフレとは言わないまでも、実はインフレは極めて緩やかであったのだ。わかりやすいのが家賃だが、物件価格が高騰していたのにも関わらずその物件を賃貸するときの家賃は、物件価格に比べると「ほとんど」と言ってよいほど上がらなかった。

by Gettyimages

そのため、収益物件の運用利回りは極端に低くなったのだが、それにもかかわらず物件価格が上昇を続けたのがバブルである。まさに経済合理性など無視して「チューリップの球根が高騰するのと同じ理屈」で不動産を始めとする資産価格が上昇した。

過剰に市場に流れた資金が実体経済に回らず、株式や不動産、さらには金融商品に殺到したのがバブルの本質だと言える。

その点で言えば、日銀の執拗な「量的緩和・ゼロ金利政策」によって市場に資金があふれている上に、「コロナ対策バラマキ」が推進されてきたのにも関わらず、実体経済には回らず資産や金融商品にマネーが流入している現在はバブル期によく似ていると言える。

 

最近でも収益物件への投資が盛んに行われ外国人投資家が日本に殺到するのは、日本の金利が安いからである。不動投資を現金で行うことはほとんどなく、借り入れでレバレッジをかけるのが普通だから、日本の不動産の裸の運用利回り(家賃)が低くても投資は成り立つ。しかし、その「低い金利」という前提こそが「逆バブル」とでもいえるのである。

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