いつかは金利が上がる
たぶん多くの人々にとって「いつかは金利が上がる」という言葉は「耳にタコ」であろうし、「いつかは関東大震災が起こる」(明日起こるかもしれないが)と同じような言葉に感じられるかもしれない。
確かに、バブル崩壊後長年にわたってこの言葉が使われ続けてきたため、「オオカミ少年」扱いされるのも仕方がないかもしれない。
しかし今までやってこなくても「いつか(災害)はやってくる」と言うのが、投資の神様ウォーレン・バフェットの教えである。
さらには、4月30日公開の「いよいよ『大転換』の時代に突入…『インフレ』と『金利上昇』はすぐそこまで来ている!?」で述べたような「インフレ・金利上昇」の兆候がはっきりと出てきている。少なくとも私には「デフレの宴は終わった」ように思える。
一般読者にとって最も関心のある金利は「住宅ロ―ン」であろう。懸念されるのは多くの人々が変動金利で借りていることである。さらに、固定金利で借りている場合でも住宅金融支援機構の「フラット35」を除けば、10年ごとに金利が見直されるケースが普通だから「準変動金利」とも言える。
一般的な住宅ローンは、市場金利が上がっても月々の返済額は変わらない。その代わりに(完全固定金利で無ければ)返済額の「元本と利息の割合」の内訳が変化する。その結果同じ金額を払っていても、元本の減り方は遅くなる。そして、例えば10年目などの一定の時期に残った元本から逆算した新たな返済額が決まる。「完済日」は同じに設定されるので、月々の大幅な支払額の増加も考えられる。
マンションなどの土地部分(持ち分)は2~3割程度で、残りの7~8割は建物だから、インフレによる建築費の高騰によって物件価格が上昇する可能性はあるが、一戸建て住宅の場合は土地部分が大きい。
4月29日公開の「いよいよ『大転換』の時代に突入…『インフレ』と『金利上昇』はすぐそこまで来ている!?」、2019年5月26日公開の「『この先、日本では不動産を買うな株を買え』といえるこれだけの理由」など数多くの記事で述べてきたように、人口動態などから日本の将来の不動産価格には暗雲が立ち込めている。
もちろん借り入れているローンの「実質返済額」が、インフレによる貨幣価値の減少によって軽くなるという効果も見込めるのだが、不動産の(インフレを除く実質)価格の今後の上昇は考えにくい。
その「価値減少」に向かう不動産においての「金利上昇」は「デフレバブル崩壊」の引き金になるのではないだろうか?