2021.07.01
# 宇宙科学

「火星移住」本気で進めるイーロン・マスク。だが、惑星移住の本命は、まさかの「金星」だった!

川口 友万 プロフィール

火星は酸素も水もない南極のような場所

そこまでして火星へ行きたいものなのか。

イーロン・マスクのスペースX社はその目的に「MAKING LIFE MULTIPLANETARY=生命のある多くの惑星を作り出すこと」を掲げている。地球に閉じこもっていては人類の未来はない、他の惑星に生命圏を広げることが人類のミッションだというのだ。

ロマンティックではあるが、人類が火星に行き、そこに住居を構えて恒久的に住むことは可能なのか。

 

火星はとてつもなく遠くにあり、そこに酸素はなく、大気が凍るほど寒く、放射線が降り注ぎ、砂嵐が吹き荒れている。大気のほとんどは二酸化炭素で大気圧は地球のおよそ160分の1しかない。ここまで大気が薄いと地球の生物は生存できない。

気温は昼がマイナス20~40度、夜がマイナス80度(場所によってマイナス125度だという)。南極でもっとも寒かった時にマイナス94度が記録されているので、火星とは、雪と氷と酸素のない砂漠化した南極といったイメージだろうか。

南極の地表 [PHOTO]gettyimages

酸素がないとはいえ南極と同レベルの気候であれば、ギリギリ生きていくことはできそうだ。だからこそ他惑星に移住を考えた時に火星が筆頭に挙がるのだろう。

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