家に来たらもう手遅れ
千葉県在住の主婦、佐藤菜摘さん(44歳・仮名)の元に今年10月、突然こんな電話がかかってきた。
「税務署の者です。10月×日、所得税の件で税務調査を実施したく、お伺いさせていただきます」
佐藤さんがメルカリを利用し始めたのは2015年頃のこと。趣味だったハンドメイドを副業にしようと思い立ち、以降、現在まで月に20日間、押し花や天然石を使ったアクセサリーやスマホケースなどを、一日10個ほどのペースで製作し、メルカリで販売していた。

商品の値段は500円から高いもので3000円程度。毎月の売り上げはおよそ10万〜20万円ほどになったという。
(安定して稼げるようになったけど、確定申告とか必要なのかな……?)
一度はそう考えたという佐藤さんだったが、メルカリの口コミサイトに投稿された〈30万円以下のアクセサリー類は、いくら売っても所得税はかからない〉というユーザーの書き込みを信用し、5年の間、確定申告はしなかった。
「今まで税務署から手紙や電話が来ることもなかったので、今年も大丈夫と思っていました。そんな矢先に突然、連絡があったので驚きました」(佐藤さん)
税務調査当日の午前10時、黒スーツ姿の2人組の男性調査官が現れた。インターホン越しに映された鋭い目つきに、佐藤さんにも思わず緊張が走った。2人の調査官を居間に通すと、すぐに質問が飛んできた。