「仮想通貨」「ドル」「金」「株」、じつは“一番安心できる”のは…? プロの「意外な答え」

大原 浩 プロフィール

マネーには「安心・安全」が必要だ

現代でも、この本質は変わらない。例えば米ドルが世界中で普遍的に流通するのは、巨大な米国経済や軍事力で「将来におけるドルの商品(サービス)との交換を保証」しているからだ。法定通貨であれば、その価値が保証されると同時に、「法定通貨の受け取り(法定通貨と交換で商品を売ること)を拒むこともできない」のである。

米ドルにとって代わられる前、第1次世界大戦以前に「世界通貨」であった英国のポンド(私が上田ハーローに入社した頃も、米ドルほどではないが、特別な通貨であった名残りを感じた)も同じように「大英帝国」の力(信用力)を背景にしていた。

それに対して、ビットコインを始めとする仮想通貨には、そのような「強力な国家による価値の保証」は存在しない。

中米エルサルバドルがビットコインを法定通貨とする法案を可決した。 ビットコインが法定通貨になるのは世界初である。しかし、この国では2001年から法定通貨として米ドルが流通(自国通貨コロンを放棄)しており、これからもビットコインと同時に流通する。元々自国通貨を持たない脆弱なエルサルバドル政府がビットコインの価値を保証できるわけではない。

例えば、エルサルバドルが発行する国債と、トヨタ自動車の社債のどちらが「信用」できるかということである。

命の次に大事なものには「信頼性」が不可欠だ。かってのポンド、現代のドルは、国家の強力な保証があっからこそ価値が保たれてきたのだ。

 

「お金の本質」については、私の処女作「銀行の終焉―近未来マネー論序説―」で詳しく述べた。1996年と四半世紀前の発刊だが、すでに述べたように「『お金の本質』は、古代から変化していない」ともいえ、現在でも通用する内容だと考えている。

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