医療と教育の連携を取りながら、富山市の小中学校では実際に合唱コンクールや運動会を場面に応じてマスクを外す形で実施したが、クラスターは発生しなかった。この1年の富山市内の感染状況をまとめてみても15歳未満の感染者では無症状者が最多、感染経路も家庭内が7割という結果に。マスクの使用を必要最低限に抑えて過ごした影響は特に見られなかった。
変異株でも、子どもの感染割合は変化なし
騒がれている変異株についても子どもの感染者数の割合は「これまでとほぼ変わらない」(種市氏)という見方を示す。先行して流行がはじまったイギリス政府の諮問機関から昨年12月、イギリス変異株について「子どもも大人と同等に感染しやすい」「子どもが危険だ」という情報が出回り、日本国内でも流れた。
しかし、その後、1月末には欧州疾病対策予防管理センター(ECDC)が「子どもたちは新たな変異ウイルスに対して影響を受けにくいようだ」との見解を公表。実際にデータを見ると、全体的な感染者数は増えたものの、子どもの感染者数を見た場合、割合的には従来株の新型コロナウイルスと変わらないことが分かった。
国内の状況でも同様の傾向は見て取れるという。変異株の感染が増加したと見られる今年4月の第4波を含む日本国内における感染状況を見てみても、10歳未満の感染者数は全体の約0.2%と、他の年代と比べてかなり低い。
種市氏は「10代の枠になると高校生、大学生も含まれるので感染割合が高まりますが、(13歳未満の)小児の感染は極めて低い状況を維持しています。これだけデータが揃っているのだから、大人と子どもを分けて考える勇気を持ってほしい」と指摘する。

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