2021.07.16
# エンタメ

『サマーウォーズ』の前と後、「チーム・細田守」に起こった「決定的な変化」

エヴァンゲリオンとの「意外な接点」も
倉田 雅弘 プロフィール

すでに人気を博していた『エヴァ』とのカップリングは、当時は知る人ぞ知る監督の、原作人気に頼れないオリジナル作品である『サマーウォーズ』の認知度を高めるのに大きな効果があった。また公開後の8月11日には、特別編集版『時をかける少女』をテレビ放送するなど、様々な施策がなされた。

その結果『サマーウォーズ』は、上映スクリーン数127、観客動員数126万人、興業収入16億5000万円の大ヒットとなったのだ。

当時の細田監督が置かれていた状況について、明治大学大学院客員教授でアニメ特撮研究家の氷川竜介は、著書『細田守の世界 希望と奇跡を生むアニメーション』のなかで、こう記している。

「もちろん筆者自身(※引用者注:氷川竜介のこと)も懸命に応援しましたし、業界から有志が何人も得意分野や関係する媒体で協力するなど、全体で盛り上げたいという空気が波及していた。数あるアニメ映画の中でもかなり珍しい状況になっていたという印象です」

 

細田守監督を成功させるために尽力する、彼の才能に引き寄せられた人たち。それは『サマーウォーズ』本編で、世界の危機に挑む主人公・小磯健二を応援する、あこがれの先輩・篠原夏希とその親戚陣内家の姿に重なる。

こうした「才能を応援したい」という思いと、細田守監督の周りに漂う人と人との関わり合いを重んじる空気が、合議制によるプロデューサーチームを生み、ひいては老若男女を問わず楽しめる普遍的な作品を生み出していったのだろう。

そういえば『サマーウォーズ』のキャッチコピーは「つながりこそが僕らの武器」だった。

(敬称略)

【参考・引用資料】
『細田守とスタジオ地図の仕事』日経エンタテインメント 編・スタジオ地図 監修(日経BP社)
『細田守の世界 希望と奇跡を生むアニメーション』氷川竜介(祥伝社)
『PLUS MADHOUSE03 細田守』(株式会社キネマ旬報社)
『時をかける少女』限定盤DVDブックレット
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