最新OSの明確な特徴
アップルは毎年、秋に各種デバイス向けOSの新バージョンを更新するが、その一般向けテスト公開(パブリックベータテスト)がすでに始まっている。
特に多くの人が気になるのは、iPhone向けのOSである「iOS 15」と、iPad向けのOSである「iPadOS 15」だろう。


今回提供される最新OSには、明確な特徴が1つある。──「デバイス内AIの活用」だ。
音声や画像の認識はもちろん、ふだんの何気ない利用シーンまで含め、「iPhoneの中にあるAI」が利便性を高める要素が増えているのだ。
デバイス内AIに注目しているのはアップルだけではない。AmazonにGoogle、Facebookなど、大きなプラットフォームをもつIT企業はみな、同じ方向に向かっている。アップルだけが例外ではないのだ。
今回は、iOS 15/iPadOS 15の新機能を紹介しつつ、デバイス内AIが発揮する価値について考えてみよう。
なお、iOS 15/iPadOS 15のパブリックベータテストには誰でも無料で参加できるが、いずれも開発途上で不具合の存在も想定できること、利用許諾上の制約があることなどから、テスト目的以外での利用は推奨されない。今回利用したスクリーンショットも、報道を目的に特別な許可を得たうえで利用していることをお断りしておく。
画像内の文字が「コピペ」できる!
まずは、次の画像を見ていただこう。iPadOS 15の「写真」アプリを使ったときのものだ。見やすさを重視してiPadを使用しているが、機能自体はiPhone向けのiOS 15でも同じである。

一見ふつうの写真に見えるが、ちょっと面白い点がある。画面右部に写っている黒い看板中の白い「文字」の部分が直接、選択されているのだ。文頭と末尾に、青いカーソルが見えるだろう。
ウェブサイトなどで「テキストを選択してコピーする」という作業は、日常的によくおこなわれるが、それとまったく同じ操作で、「画像の中のテキスト」が選択できている。
では、これを「コピー&ペーストする」とどうなるのか? 画像として貼り付けられるわけではない。ちゃんと「テキスト」になるのだ。
別の例も見せよう。
こちらはプレゼンテーション用に使用された資料内の文字だ。たとえばホワイトボードや展示ポスターなど、記録や資料として写真を撮影する機会は多いと思うが、そこに書かれた内容を活用するのはそれなりに面倒だ。
通常は、写真(画像)として使うのがせいぜいで、書かれている内容を文書として再利用するには、「あらためてタイプし直している」人が多いのではないだろうか。チラシなどから商品名をメモするためにスマホで写真を撮る場合も多いが、それをネット検索する場合にはどうするだろう? やはり、再度タイプし直す人が多いはずだ。

だが、今回のOSから採用される「画像内文字認識」があれば、タイプし直す必要性はぐっと減る。コピーして、必要な部分に貼り付けるだけでいいからだ。