「目的」を明確にすることで、人生の“成功”の形は変わる

今こそ知りたい! 「方法論」より「目的論」(8)
安田 秀一 プロフィール

「成功って何ですか?」

よく会合などの場で、「この人はこの分野で成功した人です」などと人を紹介していただくことがありますが、正直、何が成功なんだろう? と、僕にはあまりピンときません。先ほどお話をしたマスコミからのインタビューなどでも、「安田さんの成功の秘訣を教えてください」とか「若くして成功した先輩として、これから成功を目指す若者にメッセージを」というようなことを言われることがありますが、そのたびに、「成功って何ですか?」と逆に質問をしてしまいます

スポーツアパレル「アンダーアーマー」の日本総代理店・株式会社ドームCEO・安田秀一氏 撮影/渡辺充俊

いえ、意地悪で言っているわけではなく、その人が何をもってして「成功」と呼んでいるのかがわからないからです。おカネをたくさん稼ぐことを成功とするのなら、リスキーな投機で最大瞬間風速的におカネを稼いでいる人などこの世にはたくさんいます。

では、彼らは「成功者」なのでしょうか。

会社を経営していれば成功なのかというと、そんなことはありません。会社というのは当然、調子が良い時期もあれば、悪い時期もあります。会社を潰してしまった方もたくさんいますが、ではそこで彼らの人生がすべて「失敗」なのかというと、当然そんなこともありません。

その反面、会社を経営していなくても、資産をたくさん持っていなくても、自分の理想とするような生活をして、豊かな人生を送っている人もたくさんいます。彼らはきっと自分の人生を「失敗」などとは思っていないでしょう。

みんながみんな各自で自分の人生の「幸せ」を追い求めている過程で、たまたまうまくいったり、うまくいかなかったりということがあるだけなので、それを「成功」や「失敗」と単純に言ってしまうことはできません。

つまり、僕たちが生きているこの世界において、「成功」の定義なんてあってないようなものなのです。

ちなみに、僕の人生の最終的な目的は、「笑って死ぬ」ということです。

力を出しきって、やるべきことをやった、楽しいこともたくさんあった。そういう人生を振り返って、笑顔で人生の幕をおろす。僕にとって、これはこの人生最大のクライマックスであって、これ以上の「幸せ」はありません。

この「目的」から逆算をして今は何をすべきか、ということを考える訓練を、僕はしています。「目的論」というのはとどのつまり、会社のプロジェクトを達成させるとか、自分自身が人として成長していくとかいうことでさえも「副産物」に過ぎないということです。

もっと言ってしまうと、あらゆる目的論というのは、「自分自身が人間としてどう生きていくのか」という「究極の目的論」に到達していくうえでのプロセスのひとつに過ぎないのです。 

次回は『日本人と「道」の危うい関係​』です。明日更新!
▽本記事は安田秀一著『「方法論」より「目的論」「それって意味ありますか?」からはじめよう』より、一部抜粋して構成されています(予約受付中)。
序章    「そもそも、それって意味あるんですか?」に立ち戻る
第一章    強烈な目的意識が「スーパー日本人」をつくる
第二章    なぜ一流のビジネスパーソンは筋トレやマラソンをするのか
~個人の目的論~
第三章    「なぜそれをやるのか」を知っているチームは強い
~組織の目的論~
第四章    「戦後復興フォーメーション」からの脱却
~日本の目的論~
第五章    「成功」よりも「幸せ」を選ぶ生き方 ~人生の目的論~

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