妹を泣かせた男の子と大喧嘩…

両親の母国であるガーナに行くも、知らない地に足を踏み入れたような感覚。暮らしたことのないエブリン選手にとって、日本人がアフリカに対してあまり馴染みがないのと同じように、エブリン選手も「両親の故郷」「自分のルーツ」という認識はなかった。ただ、その土地になじみはなくとも、家ではやはり「ガーナの文化」がごく自然に混在していた。

「やっぱり親が作るのはガーナ料理なんですよ。今でも好きで作ってもらうのは『カクロ』っていうガーナのバナナケーキ。バナナをマッシュして生姜などを練り込み、団子みたいにして油で揚げる。これがめっちゃうまいんですよ。ガーナ料理では定番です。あと、バンクとフフっていう主食を手で食べます。手で食べることが家では普通だったけど、それができない時期があったんです。手で食べるのが恥ずかしいみたいな。家族だけで食べるときは手で食べるけど、友達が家に来たとき『どうやって食べるの』って聞かれるのが、一時期嫌なときがありました」

今もカクロを食べるエブリン選手とステファニー選手の姉妹 写真提供/馬瓜エブリン
 

ステファニー選手とは、幼い頃は喧嘩もしていたそうだが、メディアでの二人のやり取りから仲の良さが伺える。幼少期、容姿の違いから周囲から心無い言葉を言われてきたことも少なくなかったが、支え合いながら乗り越えてきた。

「妹が泣いていて、なんで泣いているのか聞いたら『男の子に嫌なこと言われた』って。とりあえず『その子はどこだ』って(笑)。その子に注意しに行ったんですけど、丸くは収まらないじゃないですか。その男の子たちと大喧嘩しました。自分も色々言われて落ち込んだ時期もあったので、言われたことに反発しようとする時期もありました。力で抵抗している自分を、心のどこかでこのままじゃいけないなってことに気づいてました。反発してたって部分に対して、自分の中で変わらなきゃいけないなって思ったんです」

小学生の頃のエブリン選手。ステファニーさんをいつも守っていた 写真提供/馬瓜エブリン