女子バスケットボールのWリーグで、トヨタ自動車アンテロープスを初優勝に導いた立役者の一人が、馬瓜エブリン選手(26)。ガーナ人の両親のもと、日本で生まれ育ったエブリン選手は、14歳のときに両親が帰化、日本国籍を取得している。

優勝時は大盛り上がり! 写真提供/トヨタ自動車アンテロープス

馬淵優佳さんがアスリートたちにインタビューしていく連載「スポーツが教えてくれたこと」、5人目のゲストにお迎えした馬瓜エブリンさんの記事の前編では、日本で生まれ育ちながら「人と違う」と感じていたエブリンさんが、その思いを受け止め、脱却していくまでをお伝えした。後編では、バスケットボール選手としてどのように成長していったのかをお届けする。

エブリンさん中学生の時の写真 写真提供/馬瓜エブリン

NBAを見るのが大好きだった

小学4年生のときバスケットボールを始めたというエブリン選手。実はその前は全く違うスポーツをしていたそう。
「バスケをやる前は水泳とピアノをやっていました。水泳は育成強化クラスまでやっていて、内容としては厳しかったです。水泳をやってからピアノのレッスンに行ったので眠くなってしまい、全然集中もしてなくてピアノの先生にめちゃくちゃ怒られた記憶があります。怒られるのが嫌でやめたいと思っていて、その時、地元のバスケクラブに入ったんです。結果バスケの練習が一番きついっていうオチですね(笑)」

水泳をしていた小学生の頃 写真提供/馬瓜エブリン

バスケットボールを始めたのは、たまたまではない。スポーツ好きだった両親がよく見ていたのはNBA。テレビで活躍する選手から影響を受けるのは自然な流れだった。
「オリンピック中は絶対テレビのチャンネルを変えさせてくれない。家族でスポーツを見るのが好きでした。中でもNBAはダントツに観てましたね。初めて衝撃を受けた選手がドウェイン・ウェイド選手。その影響で6歳頃からバスケ選手になりたいってずっと言っていました。引っ越して新しい幼稚園に入った時の挨拶でも言っていたのを覚えています」

幼稚園の頃になりたかった夢を、エブリン選手は実際に叶えているのだ。そういう人は果たしてどれくらいいるのだろうか。

エブリン選手は身長が180cm。妹のステファニー選手は182cm。その恵まれた体格は両親からもらった贈り物だ。小学校の運動会では、一際長い脚で他の生徒を次々とごぼう抜き。一見、側から見れば、子どもに混ざって大人が走っているようにも見えるくらいずば抜けた走力だった。

「父は193cm。母は175cmあります。運動会のときは『ずる!』って言われました(笑)。でも親からもらったギフトを使わないわけにはいかないじゃないですか。自分は頑張って走ってるだけ。みんなも冗談を言いながらも理解してくれるっていう環境を、自分で作れたかなって思います」

その運動神経のよさは、もちろんバスケットボールでも際立っていた。
「何をしてもめっちゃ目立ちますよ(笑)。入ったクラブは本当にバスケを楽しむようなチームだったんですけど、コーチも試行錯誤して育ててくださって、それまで行けなかった合宿や遠征に行けました」