「死刑賛成派」も知っておくべき「日本の死刑制度」驚きの“ほころび”

アメリカとの比較で見えること
丸山 泰弘 プロフィール

法整備を尽くしているか

もう一つ、死刑に関して筆者が最も気になるものとして、「控訴を取り下げて死刑が確定する」というケースが存在するということがある。もちろん、弁護人とよく話し合って一緒に取り下げたという事例も存在するかもしれないが、本人が自分で取り下げている場合もある。

欧州委員会からの助成を受けて発足し、死刑に関する統計資料や情報提供を行うWebサイトを運営するNPO法人CrimeInfoの報告によれば、最高裁判決を得ないで死刑が確定している人の一覧を示しており、少なくない人が控訴や上告を取り下げて確定しているのが分かる。

本人による取り下げについては、本人が自らの意思で受け入れたのであれば、それは責任を果たすということではないかと思われる方もいるかもしれないが、事実を争いながら、世間からの非難を受けており、気の迷いや鬱であった場合なども少なくない。そういった命に関わる極度に法的な決定が行われる際に、専門の法律家である弁護人の支援が十分でないまま決定を行なえてしまうことが制度としても問題があろう。

冷静に考えたいのは、刑事司法における「正義」というのは、真実の究明を尽くし、本来の罰を受けることであるという点である。繰り返しになるが、死刑に賛成の立場であっても、刑事司法の考える「正義」を反映しない不適当な運用については是正すべきと考えるであろう。

 

アメリカの死刑制度

この点で、冒頭で述べた通り、アメリカでは死刑制度についての議論が様々に提出されている。

例えば、先の「控訴取り下げと死刑」の関係でいえば、アメリカでは多くの州で「自動上訴」を必要としており、本人の取り下げによって第一審終了後に死刑が確定するということはあり得ない。とくに、死刑事件については必ず最高裁まで争われる。それは被告人の意思に関わらず行われる「自動上訴」のシステムになっている。

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