入社3ヵ月で書いた辞表を撤回した私が、今度こそ「NHK」に辞表を出したわけ

そうか、私がしたかったのは…

「エコシステムですよ、そんなものを作りたい。お金が回って、支援もできる」

目の前のひげのオジサンが、笑顔でしきりに語っている。どうにも調子のいい話だ。

そもそも、シチュエーションがもうキマっている。渋谷の高層ホテルの上階にある割烹レストラン。そんな所での非日常的なランチに気軽に記者を誘う人間は、大抵はうまく利用してやろうという腹積もりのある経済ヤクザか、政治家の「私設秘書」と相場は決まっている。そんな人間には山ほど会ってきた。

しかし…いい話なんだよなあ、これ。

結論から言うと私は誘いに乗り、NHKを辞めた。

NHKを辞めた photo/iStock
 

どうしてそんな決断をしたのか、最近、NHKで何をどうしてきたかという内情を含めて、「ちゃんと説明したほうがいいですよ」と後輩たちに勧められました。

とういわけで、ご興味があるかどうか分かりませんが、ちょっとだけ書いてみることにしました。全くつまらない話で、申し訳ないのですが…。

夢物語のような「うまい話」

その人はヤクザっていうわけじゃありません。まっとうな人でした。瀬尾傑さんといいます。

民放の情報番組で、コメンテーターとして登場している姿を見たことがある人もいるでしょう。私たち記者の世界では知られた存在で、もともと講談社などでいくつものスクープを放っていました。WEBの「現代ビジネス」を創刊させた初代編集長でもあり、いまはスマートニュースの研究所に移ったと聞いていました。

自分が運営に関わっている調査報道のテクニックを共有するための勉強会で知り合い、この日は「飯を食いに行きませんか」と、サシで誘われたのです。コロナが大騒ぎになる直前の、2020年2月末のことでした。

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