ルッキズムのきっかけは幼少期から思春期
先日、ある中学校から依頼があり、『体型や容姿コンプレックス、自分らしさ』をテーマにしたオンライン授業を行った。私は、体型に対する認知力や肯定感を伝えるには、この中高生ごろが特に大事な時期だと感じている。
容姿コンプレックスで悩んでいる人の話を聞いていると、幼少期から思春期にかけて誰かに容姿を揶揄されたり否定されて傷付いた経験があるケースが多い。そして、クラスメイトやテレビの中で笑われたり傷つけられる誰かを見て「ターゲットにされないようにしなければ」と恐れたり、過剰に褒められる誰かを見て「ああいう人にならなければ」と焦燥感を抱いたまま成長してきた人が多いことを改めて感じる。

12歳ごろから始まる思春期は「自分はいったい何者なのか」と思い始めるアイデンティティを形成する時期だと言われている。私自身もそうだったが、他人と自分を常に比較して、人の目や発言が気になって仕方ない時期だ。自分に対する不満やコンプレックスを抱き始めることは自然なことなのだと思う。
このコンプレックスをバネに飛躍出来る人もいるが、容姿に対する偏った価値観が呪いのように複雑化し、大人になったときには紐解くことが難しくなり、何十年も続く心の病になってしまうこともある。実際私は、過食症になり「太った自分が醜くて死んでしまいたい」と思い込んでいた。過去の私は、紛れもなくそんな偏った価値観に苦しめられていた。
しかし、これは今も変わらない。いや、ネット情報やSNSの普及でより悪くなっているといえるかもしれない。外見へのチェックが厳しく、他者を厳しく指摘する日本社会で生きていれば、コンプレックスを全く感じないでいることは難しいかもしれない。大事なのは、コンプレックスや自己否定感に巻き込まれず、うまく距離をとることなのだと思う。