不適切な子育てが脳を「萎縮」「肥大」させる…最新科学で見る、体罰や暴言が脳を傷つける“深層”

体罰や暴言、無視、目の前での激しい夫婦げんかなど“マルトリートメント”と呼ばれる不適切な育児が子どもの脳を傷つけることが脳科学の画像診断から明らかになってきました。

「『虐待なんて関係ない』と思っているご家庭は多いと思いますが、小さなヒビがどんどん広がると脳にまで影響を及ぼすことがありうることは知っておいていただきたい」

この事実を突き止めた福井大学教授の友田明美さんは話します。

どのようにして脳はダメージを受けるのか、脳の神経回路や免疫機能のメカニズムの解明が進んでいます。一方で、傷ついた子どもたちの治療に取り組んできた医師たちによって、互いに呼吸を合わせる“同調する運動”が脳の修復を助ける、という回復への道筋も見えてきました。(NHKサイエンスZERO取材班)

福井大学の友田明美教授/NHK提供
 

研究で分かった、脳の「萎縮」や「肥大」

長年傷ついた子どもたちの診療を行ってきた福井大学子どものこころの発達研究センター教授でセンター長の友田明美さん(小児神経科医・脳科学者)は、ハーバード大学と共同で虐待が脳に与える影響を調べました。

虐待を受けた経験がある1500人の中から「体罰」「暴言」といった特定の行為だけを受けた人を抽出して、MRIで脳の画像を撮影。虐待を受けていない人の脳と比較しました。すると、虐待経験のあるグループでは脳の特定の領域に「萎縮」や「肥大」といった変形が見られたのです。

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