長年、面白さと商品訴求力のバランスが絶妙、と好評を博し続けているKINCHO(大日本除虫菊株式会社)の広告。最近は長澤まさみさんの関西弁による虫コナーズのCM、また意表を突く新聞広告が話題になるなど、新しい広告がでるたびに注目を集め続けている。バズるけれど炎上はしない広告を作る――、そのセンスはどのようにして生まれ、どう受け継がれているのか? 取材をおこなった。

CMの内容を事前会議にかけることはない

正統派美人女優だった沢口靖子さんが関西弁で三枚目キャラを演じ、世間に驚きと笑いを呼んだ「タンスにゴン」のCM。ベテラン俳優の笹野高史さんがボディビルダーに扮するというミスマッチさが笑えた「蚊がいなくなるスプレー」のCM、先が見えないコロナ禍に打った「もうどう広告したらいいのかわからないので」という逆転の発想の新聞広告……。

提供/KINCHO
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毎年大きな話題を巻き起こしているKINCHOのテレビCMや新聞広告だが、今のようなユーモア溢れるスタイルになったのはいつからだったのだろう? 宣伝部の大迫寛史さんに話を伺った。

「1966年にクレイジーキャッツの桜井センリさんにご出演頂いてキンチョールのCMを作ったんです。最初はストレートに商品アピールをしようという方向性だったのですが、たまたま桜井さんがキンチョールを逆さまに持って、『ルーチョンキだな』と言ったんですよ。それを聞いて現場の担当者が『面白い!』と採用したところ、大当たりした。……というのが結果的にはきっかけとなりました。

当時はまだテレビCMというものが始まったばかりで、どう作ったらいいのか模索中だったんですけど、このCMによって、広告とはマジメに商品のことを言えばいいというわけではない、と分かったんです。この遺伝子を今も受け継いでいる、と言えると思います。その『面白い!』と採用した当時の宣伝部長は、後の弊社の会長。まさにルーツを作ってくれたと思います」