2021.08.05
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映画・アニメレビュワーの筆者が「ファスト映画問題」に答えが出ないと思うワケ

法律とファン獲得の線引きの難しさ
井中 カエル プロフィール

「オタク」から「効率重視」の消費へ

2つ目は効率重視だ。かつてはオタクという存在は忌避される者として扱われていたが、2005年ごろのオタクブーム以降、1つのことに特化したかっこいい人々のように扱われることが多くなった。

映画ファンやアニメファンは1つの分野に特化するために名作も駄作も何百作以上と見続けてきているのだが、その手間を惜しんで効率よく映画を知るためにはファスト映画が適したものと考えているのだろう。

また、「タムパ(タイムパフォーマンス)」なる言葉まで生まれる効率主義は、世間的な潮流でもある。かつてはお笑いの世界でも10分以上時間がかかるような落語や漫才が多かったが、テレビの登場により高速化、今では漫才やコントも3分ほどと短縮されたものがテレビでかかり、出オチ芸や、一発ギャグなど短い時間で笑える芸人が重宝される。

 

高速化された漫才や一発ギャグの笑いに慣れてしまうと、落語の話術の妙味が長く感じてしまうように、YouTubeやTwitter、TikTokなどの短時間で楽しめるコンテンツが多くある中では、映画を2時間も見ているのが退屈になる。

また、食べログなどのようなレビューサイトがわりにファスト映画が使われている側面もある。誰だってレストランに向かう際は、サービスの行き届いた美味しい店に行きたいものだ。

その食事がどう美味しいのか知るためにレビューサイトを閲覧するように、ファスト映画で物語のあらすじを知ればなんとなくその映画の面白さがわかり、効率よく楽しめると考えているのだろう。

3つ目は、脚本やあらすじを追うことで作品を全て知ったかのように考えていることだ。まるで映画やアニメなどの物語の面白みは、脚本やあらすじにあると考えている節を感じる。

事あるごとに伏線とその回収をポイントとして挙げ、ラストのオチがビックリするものであることを面白さの基準とするような意見も目立つ。

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