2021.08.05
# YouTube # Google

映画・アニメレビュワーの筆者が「ファスト映画問題」に答えが出ないと思うワケ

法律とファン獲得の線引きの難しさ
井中 カエル プロフィール

興味を持っている「新参」にどう応えるか

もちろん、脚本やあらすじは作品の根幹を成す重要な要素であるが、それが全てではない。同じ脚本をあてがわれたとしても、演出方法や撮影、音楽の付け方、台詞回しなどによって、その印象は大きく異なる。

いい例が落語だろう。落語は古典落語であれば、そのネタはすでに100年以上に亘り演じられてきたものだ。もちろん、多くの落語家が同じネタを演じている。しかし、例え同じ「死神」というネタであっても、演じる人によってその味わいは大きく異なる。それは話し方、演出などが大きく異なるためだ。

 

映画も同じだ。物語のあらすじそのものは3行で説明できるものだとしても、卓越した演出手法によって、その味わいは大きく変わる。2時間の映画であれば、その2時間かけて語る間などの演出が重要なのであるが、そのような言い分は映画ファンの戯言のようにしか聞こえていないのだろう。

ファスト映画を愛好する人々を「嘆かわしい」「映画の魅力をわかっていない」と断罪するのは簡単だ。だが、仮にも映画に興味を持ってくれる人々を、いかにして映画ファンとして育てるのか、その工夫が求められている。

そのためには、漫画が電子書籍で一部巻数の無料公開が一般的となっているように、公式によるあらすじ紹介や総集編動画の作成を入り口にすることも、検討すべき段階に入っているのではないだろうか。

SPONSORED