2021.08.07
# 観光 # 鉄道

地方鉄道の苦しい実情…「旅行できない夏休み」が観光鉄道に与える大きなダメージ

津軽鉄道線のこれまでとこれから
佐藤 信之 プロフィール

そういった苦しい状況を受けて、津軽鉄道は令和2年5月から、「未来乗車券」を発売し始めた。ファンの発案で生まれた、前払いのフリー乗車券。コロナ禍が落ち着いたら乗ってくださいという、日付を指定しない未来の乗車券である。

また4月末から、コロナ禍で津軽に行けない愛好者や観光客に向けて、乗客目線で車窓を撮影した「仮想乗車」動画をYouTubeで公開した。視聴した人から、昨年末までに250万円の寄付が寄せられたという。

 

赤字は減少したが、先行き不透明

令和3年3月期の津軽鉄道の決算内容は、旅客数が、前期比30.8%減の17万6740人。運輸収入は36.2%減の7494万8555円であった。経常損益は5840万3000円の減益だが、特別利益7302万2000円(自治体からの補助金・レールオーナー等寄附金)が加わって当期純損益33万4000円の損失に終わった。

「コロナ禍にあって30万円の赤字で終わったとは驚きです」と話すのは、社長付き顧問の澁谷さん。前期よりも赤字が減少した。

しかし先行きはまだまだ見通せない。令和3年度に入り、4月の旅客数は1万6516人で対前年比171.5%であるが、コロナ前の平成30年度比では60.7%、5月も1万4480人(対前年比113.0%)で、平成30年度比55.7%とコロナ前に比べると回復が見られない。

しかも暑さが本格化するにつれて、観光客の供給元である東京では、毎日数千人単位で新規の感染者が出ている。8月1日には全国知事会が都道府県境を越えた移動の「原則中止」を呼びかけたため、国内旅行すら難しい状況だ。再び津軽鉄道に活気が戻るのは、いつのことになるのだろうか。

SPONSORED