習近平の自業自得で中国経済は「バブル崩壊」秒読み段階に

もうこの流れは止められない
朝香 豊 プロフィール

恒大集団のデフォルトは秒読み段階

こうした観点から習近平は、不動産バブルを潰すことにも力を入れている。

家は本来住むためのものであるのに、投機の対象になったために、庶民には手の届かないものとなった。それが少子化を生んでいる。こんなバカげた不動産バブルが制御不能なレベルまで巨大化したのは、自由な経済活動なんか認めてきたからだーーというわけだ。

その中でも特に狙い撃ちされているのが、中国一の不動産ディベロッパーである恒大集団である。

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関連会社を含めれば150万人の雇用と関わっていると言われる恒大集団は、大きすぎて潰せない企業とみなされてきた。事実、恒大集団の経営不振は以前からよく話題に上がっていたが、同社は膨大な債務の返済期限が近づくと、これを借り換えることで破綻を何度も免れてきた。だが、主力銀行側は今後の借り換えを認めない動きを一斉に示すようになった。

国務省の金融監督当局は、恒大集団が破綻した場合に資本や流動性にどのような影響が及ぶ可能性があるのかを調べるよう複数の銀行に求めている。この動きと銀行側の動きは関係していると思われる。

恒大集団はすでに、湖南省の市住宅当局により2ヵ所の開発地の販売停止を命じられ、香港で手掛けている2件の住宅開発についても新規融資が停止された。

 

格付け会社は恒大集団の格付けをどんどんと引き下げている。直近でもS&Pグローバル・レーティングは7月26日に同社の格付けを「Bプラス」から「Bマイナス」に引き下げ、8月5日にさらに「CCC」にまで引き下げた。「CCC」というのは、もはや自前の力では企業経営が続けられるとは考えられず、事業が続くかどうかは外部環境次第という感じの格付けだ。

中国政府が同社を見放すような動きに出ている外部環境からすれば、同社のデフォルトはもはや秒読み段階に入ったものと思われる。

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