「人の倍稼ぐフリーランス」が、じつは「稼ぐ」よりも大事にしていること
人間にとって最も大きな喜びとは20年連続「高収入」のフリーランスが一番大事にしてるのは、じつは「稼ぐこと」ではなかった……。ブックライターとして数多くの成功者に取材する中で学んだ、地位でも名誉でもお金でもない、人間にとっての喜びとは。
『人の倍稼ぐフリーランス46の心得』(草思社)を出版したブックライター上阪徹氏が説く、表面的なノウハウにとどまらない「仕事の心得」。
成功者たちを苦笑いさせた質問
もう20年以上前になりますが、文章を書く仕事でフリーランスになって間もない頃、幸運なことに各界の成功者にたくさんインタビューさせてもらう仕事に出会うことができました。そこで、こんな機会はない、とばかりに、若気の至りでよく繰り出していたのが、こんな質問でした。
「どうすれば、成功できますか?」
「たくさん稼ぐにはどうすればいいでしょうか?」
「お金持ちになる方法はありますか?」
多くの人が苦笑いをされ、質問にはっきり答えてはもらうことは、ほとんどできませんでした。

しかし、ありがたいことに私自身も長い間それなりに稼げるようになってからは、その気持ちがわかるようになりました。
おそらくほとんどの人が「稼ごう」などと考えていなかったからです。そして、そんなことを考える前に、やるべきことがあったからです。
私の20代は、とにかくギラギラしていました。早く成功したかった。早くいろんなモノを手にしたかった。お金も欲しかったし、名誉も欲しかった。人に羨ましいと思われたかった。
自分のエゴと欲だけで生きていたのが、私の20代でした。しかし、待ち構えていたのは、失敗でした。就職に失敗。転職に失敗。二度目の転職先は、3カ月で倒産し、私は28歳で失業者になりました。そこから、仕方なくフリーランスの道に踏み出したのでした。
失業したときの衝撃は、今も鮮烈に覚えています。そのショックは、実は収入が途絶えたことだけではありませんでした。「誰からも必要とされていない」自分に気が付いたのです。
属する組織もない。通う会社もない。何かを頼もうと声を掛けてくれる人もいない。街を歩いているだけでも、猛烈な疎外感に襲われました。
どこにも属せず、誰からも必要とされないということが、これほど恐ろしいものだとは思いませんでした。