多くの人が知らない…「不要不急」の呼びかけで窮地に陥る「こども食堂 」のリアル

高村 由佳 プロフィール

コロナ禍で気づいた「精神的なつながり」の大切さ

データもその影響を物語っている。

むすびえが行った「こども食堂の現状&困りごとアンケート結果」*2によると、感染拡大直後の2020年4月には38.5%ものこども食堂が活動休止や活動延期に追い込まれた。感染拡大前と同様に「会食」を開催したこども食堂は、わずか10.0%しかなく、46.3%はお弁当や食材の配布、それに食材等の宅配といった活動に切り替えたという。

工夫をしながらの活動の様子/認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ 提供

多くのこども食堂は会食を避け、食材や弁当の配布など、コロナ禍でもできる形での開催方法をとった。こうした動きは、運営する人たちが「これまで培ってきたつながりを大切にしたい、途切れさせたくない」という思いから試行錯誤した結果だと言える。

中には「子どもたちと文通をした」という団体もあったそうで、湯浅さんはコロナの影響で物理的な距離を取らなければいけない一方で、人々の意識は「精神的なつながり」へ向かったのではないかと分析している。

 

コロナの中での工夫 こども食堂の奮闘

それからも、こども食堂の苦戦は続いた。むすびえでは、継続的にこども食堂の実施状況について調査。2021年6月下旬から7月上旬の時点では活動を休止するこども食堂は6.3%にまで減少し*3、一見すると、開催状況は改善されたようにも見える。

しかし、一堂に会して食事をする形で開催をしている団体は36.4%で、徐々に増えてはいるものの、いまだ感染状況によって左右されているのが現状だ。新型コロナウイルスの特性上、会食を主とする開催形態に戻すことは難しく、コロナ以前の活動に完全に戻すことはできずにいることがわかる。

しかしながら、地域によっては、会食での開催を再開しているこども食堂もあり、全体の8割程度にまで上る地域もあるという 。コロナ前から地域にすでに根付いていて、住民の理解が得られていたり、こども食堂を始める前から別の形で活動して、信頼を得ていたところが多いそうだ。地域の人たちが、ある程度理解してくれていると、「子どもの居場所は必要だ」と、地域全体が合意できるため、活動がしやすくなると言えるだろう。

各地で感染対策を実施しながらの活動/認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 提供

一方で、活動が再開できないこども食堂については、まだまだ新しい存在であるがゆえに、「地域に理解されづらい」という声が聞かれると湯浅さんは指摘する。

「中には、『不要不急の会食じゃないか。何が違うんだ』と思っている地域の方もおられます。そういう人からの視線を感じると、ここで万が一陽性者を出してしまったら、この後一生活動できなくなるんじゃないかという気持ちが働いてしまいますよね。ただ、それはある意味しょうがないことだと思っているんです。自治会の歴史は約70年、小学校は創立100周年などと言っているわけですよ。こども食堂は、社会に生まれてまだたった10年ですからね」

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