多くの人が知らない…「不要不急」の呼びかけで窮地に陥る「こども食堂 」のリアル

高村 由佳 プロフィール

社会に必要な「つながり」の場

こども食堂に対する「不要不急の会食ではないか」という意見は、未だ少なくない。

本当に不要不急なのだろうか。新型コロナウイルスの影響もあり、時代は急激に変化していて、人と人とのふれあいもオフラインからオンラインへ大きく変わった。

しかしコロナ禍でも、つながりを必要とする人や居場所を求めている人は必ずいる。こども食堂も、そうした居場所としての役割を果たす替えのきかない不可欠な場所だと言えるのではないだろうか。

湯浅さんによると、これまで東日本大震災や熊本地震の後で、被災した地域でこども食堂が増えるという現象が起きたそうだ。コロナ禍でも、むすびえが把握しているだけで186箇所のこども食堂が新たにオープンしたという。そして、おそらくこの動きは今後も続くとみている。

「非常時は、平時のつながりの重要性を再認識するときだということが、改めてよくわかる。平時から繋がり作りをしておけば、非常時にはセーフティネットになり得ます。どんな状況下でも、人々の暮らしを保っていけるような場が、これからの日本社会には必要だと思います」(湯浅さん)

まだまだコロナの影響は続き、主催者や参加者の中には不安を感じる人もいるが、湯浅さんは次のように強調する。

「こども食堂については、『不要不急ではないエッセンシャルな場である』ということを、より広く知ってもらう必要があると考えています。日本社会では人口減少が進み、超少子高齢化にも歯止めがかからない状況ですが、それはコロナが終わっても変わらないですよね。

コロナ前から疎遠な”無縁社会”に私たちは生きてきましたが、そんな中で、社会や地域の持続可能性を考えた時に、こども食堂のような場所がないといけないと、みんなが思い始めていると感じます」

湯浅 誠さん
【プロフィール】
湯浅 誠 (ゆあさ・まこと)
社会活動家。東京大学先端科学技術研究センター特任教授。全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長。

1969年東京都生まれ。東京大学法学部卒。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。1990年代よりホームレス支援に従事し、2009年から足掛け3年間内閣府参与に就任。内閣官房社会的包摂推進室長、震災ボランティア連携室長など。政策決定の現場に携わったことで、官民協働とともに、日本社会を前に進めるために民主主義の成熟が重要と痛感する。2014〜2019年まで法政大学教授。


著書に、『つながり続ける こども食堂 』(中央公論社、2021年)、『子どもが増えた! 人口増・税収増の自治体経営』(泉房穂氏との共著、光文社新書、2019年)、『「なんとかする」子どもの貧困』(角川新書、2017年)、『ヒーローを待っていても世界は変わらない』(朝日新聞出版、2012年)、『反貧困』(岩波新書、2008年、第8回大佛次郎論壇賞、第14回平和・協同ジャーナリスト基金賞受賞)、『貧困についてとことん考えてみた』(茂木健一郎と共著、NHK出版、2010年)など多数。

ヤフーニュース個人に連載中の「1ミリでも進める子どもの貧困対策」で「オーサーアワード2016」受賞、法政大学の教育実践で「学生が選ぶベストティーチャー」を2年連続で受賞。「こども食堂安心・安全プロジェクト」でCampfireAward2018受賞。他に日本弁護士連合会市民会議委員など。
 

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