逃げるのは悪いことじゃない“絶望系アニソンシンガー”ReoNa×ラジオDJ豊田穂乃花「音楽で孤独に寄り添うワケ」

逆井 マリ プロフィール

「ここまで感情を動かされるとは」

──「802 Palette」(以下ハチパレ)では、どのメディアよりもいち早くReoNaさんの楽曲を届けてきました。ReoNaさんに注目されたキッカケはなんだったのでしょうか。

豊田:ReoNaちゃんのはじまりの作品であるTVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』の劇中アーティスト・神崎エルザの曲を番組にいただいたことがキッカケでした。

まだReoNaという名前が明かされていない段階だったんですが、声が特徴的で、引き込まれるような魅力があるなって。それで劇中歌の「ピルグリム」(神崎エルザ starring ReoNa名義・2018年リリースのミニアルバム『ELZA』収録)が初めて放送された直後に、番組でオンエアしたのがはじまりです。

インタビューの様子(撮影/大西陽)

──声が特徴的とおっしゃっていましたが、他にはどのような魅力を感じられましたか。

豊田:明るさよりも、寂しさ、切なさを感じるような歌声で、一言では表せないような複雑な感情になったことを覚えています。知らないアーティストの歌声でここまで感情を動かされることがあるんだなと自分でも驚きました。当時はまだどういう形でご一緒できるかというのは分からなかったんですけど、今後番組で何かできたらうれしいなと思っていました。

──ReoNaさんは初めてラジオで流れた瞬間は覚えていらっしゃいますか。

ReoNa:はい。『ガンゲイル・オンライン』の放送日、事務所でReoNaチームのみんなと放送を観ていて。そのあと深夜2時からハチパレの生放送で「もしかしたらかかるかもしれない」とうかがっていました。実際に流れるかは分からないけど、一縷ののぞみをかけてラジオを聴いていたら、曲紹介と共に「ピルグリム」が流れて。

今この瞬間、まったく同じ声・音をいろいろな場所で、いろいろな人が受け取っているんだなと、実感半分、夢見心地半分、といった気持ちになったことを覚えています。アニメで初めて流れた直後だったということもあって、ふたつの「はじめて」を同時にもらった日になりました。……凄くすごく心に残っているので、鮮明に覚えていますね。

ReoNaさん/撮影・大西陽
 

──その後、おふたりがお会いしたのはいつだったんでしょうか?

ReoNa:3年前の夏にあった、所属レーベル・SACRA MUSICのコンベンションライブ(SACRA MUSIC NEXT BREAK! 2018)だったと思います。ちょうど今(取材時は7月中旬)ぐらいの時期ですね。

豊田:そうそう! そこに至るまでにもReoNaちゃんの楽曲はたくさんお届けしてきていたので、初めてお会いしたときは不思議な感覚でした。「はじめまして……?」というか(笑)。

ReoNa:私もです。生放送で一方的に声を聴いていたので、「はじめまして」なんだけど、「はじめまして」じゃないような。珍しく自分から積極的に話しかけて「実は身長も近いんですよね」って。

豊田:そう、それでお互いに靴を脱いで並んで写真を撮ったんです(笑)。

ReoNa:靴、脱ぎましたね(笑)。

──良いお話です(笑)。ところで、ReoNaさんは大阪にはご縁があったんですか?

ReoNa:デビュー前にライブしたことがある場所で、一番印象に残っていたのが大阪でした。

豊田:そう、話してたよね! そういえば、その時ってどこでやったの?

ReoNa:2か所あるんですけど、1か所はカフェのような場所をお借りして。「来年また帰ってくるから」と約束したんですけど、なかなか行けなくて。まだお客さんも10人来てくれるか来てくれないか、って時期だったんです。その後「あのときの約束を守りたい」とスタッフさんにワガママを言って、大阪に行きました。

──ホールクラスのライブのチケットが即完になる今からは信じられないです。デビュー時からReoNaさんを知っている豊田さんから見て、今の活躍はどう映っていますか。

豊田:うれしさでしかないというか。ライブのたび、ReoNaちゃんにお伝えしてるんですけど、自分とReoNaちゃんの距離が開けば開くほどうれしいんです。キャパが広くなって、たくさんの人がReoNaちゃんの曲を聴きに来ていて。デビュー時からご一緒しているからこそ、“広がっていく実感”が目で見えることがうれしくて仕方ないんです。少しではありますけど、そのお手伝いをさせていただいていることによろこびを感じています。

ReoNa:ありがとうございます。この間、「unknown」というツアーで久しぶりに関西に“ただいま”ができて。物理的な距離は広くなったんですが、でも心はすごく近くにいるような、そんな気がします。ハチパレでは、ReoNaの楽曲を初めてオンエアしていただく機会がとても多いんです。ほのちゃんの温かい言葉と共にお届けした楽曲を今度はライブでいろいろな方々にお届けできていて。私自身、番組と共に歩んできているような感覚がありますね。最近はなかなか大阪に行けていないのですが。

豊田:そうなんですよね。だから今日は久しぶりにReoNaちゃんに会えてすごくうれしいです。

ReoNa:私もです。

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