逃げるのは悪いことじゃない“絶望系アニソンシンガー”ReoNa×ラジオDJ豊田穂乃花「音楽で孤独に寄り添うワケ」

逆井 マリ プロフィール

ReoNaの「寄り添う」…名前のない絶望を歌に

──豊田さん、ハチパレにとっての「寄り添い」をお聞きしましたが、一方でReoNaさんも背中を押さない、手も引かない代弁者として“絶望系アニソンシンガー”を掲げていらっしゃいます。

ReoNa:私自身いままで生きてきて、自分が苦しいとき、悲しいとき、孤独を感じてるときに、代わりに想いを表してくれる作品がすごく救いになっていて。自分が言葉やお歌で届けられる立場にいる今、言葉にできない苦しみや孤独を抱えている誰かが……共感できるようなお歌だったり、言葉だったりを伝えたいなと思って、歌っています。

絶望系と聞くと「絶望してるのかな」「させたいのかな」「どういう意味なんだろう」って考えられる方もいると思うんですけど、絶望させたいわけではなく、絶望に寄り添いたいと思っていて。

世の中に失恋ソングや片思いの辛さを歌った曲はたくさんあるのに、なんで絶望に寄り添ってくれる曲はないんだろうなって。恋人との関係に苦しんでいるひともいれば、友人との関係、家族との関係、学校や職場での関係……人が存在する分の数だけ、きっと悲しみ・苦しみがある中で、日常に落ちている本当に些細な絶望をお歌にできたらなって。

ReoNaさん/撮影・大西陽
 

──“絶望系アニソンシンガー”を掲げるに至ったキッカケはあったのでしょうか。

ReoNa:すごく自分が苦しいとき、悲しいとき、「がんばれ」って言われることに対して違和感があったんです。苦しいのに、「がんばれ」って……なんだかしっくりこなくって。どちらかというと「分かるよ」「そうだよね」「苦しいよね」「つらいよね」って共感やうなずきというか……まさに寄り添ってくれるようなものを求めてました。そういうお歌が聴きたかったし、そういうお歌に寄り添われてきたし、そういうお歌が歌いたい。そんな思いで活動しています。

──夏休み明け前後は子どもの自殺が多いと言われています。コロナ禍ということもあって、追いつめられる方も多いんじゃないかと……。

ReoNa:逃げることを悪だと思わないで欲しくて。立ち向かうことだけが正義でも正しいわけでもない。自分自身という大切なひとつの存在を守るためにどういう手段を取るのかって本当に人それぞれだと思っていて。ひとつでも自分が生きる楽しみ、糧、逃げる先──自分の居場所を求めることだけに時間を費やす時期があっても良いんじゃないかなって。

私も学校という場所から逃げた過去があります。そんな中でも何かひとつでも好きなものがあるなら。ただ楽なほうに逃げる時間があるなら。家の中でアニメを観て、ラジオを聴いて、好きなものだけに浸って自分を回復する時間が作れるようなら、自分自身を大切にして欲しいなと思います。

きっと、何でも、たとえば勉強でも人間関係でも、取り返しがつくと思うんです。だから何か別の形で自分を楽にしてあげられる方法を見つけて欲しいなって思います。私も逃げてきたからこそ、今があるので。

豊田:うんうん。

ReoNa:目を凝らしてみると、世界は逃げる先を意外と用意してくれているんです。自分の世界の中にはなくても、一歩外に出てみると、インターネットの先に居場所があるかもしれないし、公的機関があるかもしれない。どこに自分の救いがあるかは分からないんですけど、いまある自分の世界のもうひとつ外側の世界に目を向けて欲しいなと。

豊田:みんなが認めてくれない、“名前のない苦しみ”を抱えている場合、「私はまだ苦しんでない」「この程度だったら辛くない」って思うことがあると思うんです。私自身も感じることがあって。その積み重ねで自分のことを追い込んでいってしまうと思うんですけど……こうして、ReoNaちゃんがお歌として紡いでくれることで、この絶望が絶望と認められるというか。それもひとつの居場所になるんだろうなって。

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