文化遺産と共に五輪を楽しむ
2024Parisの趣旨に喝采を惜しみませんが、いざ行くとなるとコロナの脅威を払拭するのはむずかしそう。そこで、せめて競技会場に指定されている文化遺産に思いを馳せようではありませんか。開催期間は7月24日から8月11日までですから、またしても真夏。地球温暖化が叫ばれている昨今、高緯度に位置しているパリでも夏の暑さは相当です。ただ、湿度はわが国にくらべてだいぶ低いので、日陰や屋内は凌ぎやすいです。それでは、それぞれの会場巡りでパリの風をお感じいただくことにしましょう。現段階で確定している下記の文化施設から、順次ふえるはずです。
シャン・ド・マルス・スタジアム:ビーチ・バレー、ブラインドサッカー
フェンシング・テコンドー・車椅子・パラテコンドー
柔道、レスリング、パラ柔道、車椅子ラグビー
アーチェリー・パラアーチェリー
オープンウォータースイミング・マラソン・競泳・ロードサイクル・トライアスロン・パラトライアスロン
自転車競技、スケートボード、BMX、3人制バスケット
馬術・パラ馬術
歴史建造物を思い浮かべ、競技場を飛び出したスポーツ観戦は抗えがたい魅力ですが、一方でフランス人の合理性を痛感。文化遺産に傷をつけるわけに行きませんから、細心の注意を払いながらムダな出費が抑えられて一挙両得。加えてプロパガンダ上手でセレモニーやイベントが得意なフランス人のすることですから、世界中の人々の好奇の眼差がパリに集中。それこそ、『お金をかけずに人生を楽しむフランス人』の面目躍如にちがいありませんね。
フランスは日本みたいなお金持ちではないのよ
日本では24日からパラリンピックがスタートします。しかしパラリンピック終了後、大量につくった跡地はいったいどうなるのでしょうか。無観客でインバウンドもなかった日本はどのようにお金を回収するのかといった疑問の声も出ています。「あるものを効果的に用いる」というフランスのやりかたであれば、このような問題に直面することはありません。
最後に、私がかつて住んでいたアパルトマンの隣人マダム(65歳)の声をご紹介しましょう。
「マクロン大統領が大騒ぎしているということは、私たちも騒げるということよね。
グラン・パレが1900年の万国博覧会のために建てられたときとはちがうから、現代のパリの真ん中に新しい建物を建てる場所はありません。既存の文化遺産を使うのはいいアイデアだと思うし、大会関係者もよく考えたと思う。
そうでなかったら、パリ以外の都市での開催になってしまったことでしょう。
パリの郊外なら仮設競技場は造れるかもしれませんが、ホテルや交通手段まで建てるお金は、フランスにはないもの。フランスは日本みたいなお金持ちではないのよ」