これがリアルの台湾有事〜上陸侵攻はあり得ない!…が、この方法で来る

ハイブリッド戦はもう始まっている
小川 和久 プロフィール

やることはひとつ、「何でもあり」のハイブリッド戦

残る選択肢はハイブリッド戦である。2014年のクリミア半島では所属不明の武装集団が士気の低いウクライナ軍を駆逐し、ロシア寄り住民の支持のもと、ロシアへの併合が無血で行われた。

ハイブリッド戦は、軍事力を含む「何でもあり」の戦法で、人民解放軍の喬良、王湘穂両大佐が1999年に出版した『超限戦』に起源をもつとされる。『超限戦』が次のように述べているように、政治、経済、宗教、心理、文化、思想など社会を構成する全ての要素を兵器化する考えである。

「21 世紀の戦争は、あらゆる限度を超えた紛争であり、あらゆる手段が軍事兵器になり、あらゆる場所で軍事紛争が生起する」

中国はこれを2003年、輿論戦、法律戦、心理戦の「三戦」として『人民解放軍政治工作条例』に採用した。「砲煙の上がらない戦争」の別名の通り、超限戦と古代中国の戦略の書『孫子』を融合し、戦火を交えずに勝利しようとする高等戦術である。このような動きを米軍は2008年にハイブリッド脅威と位置づけた。

三戦は具体的には次のような動きと考えてよいだろう。

 

輿論戦は、自国の主張を繰り返し世界に発信し、あたかも真実であるかのように思い込ませ、同時に国連平和維持活動(PKO)待機部隊の設置や病院船による無料の医療活動を実施して国際的イメージの向上を図る。法律戦は国際法を活用すべく研究し、対応する国内法を整備して南シナ海での管轄権などの根拠とする。心理戦は国産空母の展開などの圧力で外交的に優位に立つ。

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