2021.09.01
# 本

元アイドルのアラサー女子が、ハイスペ男子に疲れ、「官能小説」を執筆するまで

私の「人生が詰んだ」瞬間
元SDN48のメンバーで現在は作家として活躍する大木亜希子さん。56歳の見知らぬオジサンと同居した経験をまとめた私小説は、コミカライズもされ、大きな話題を集めた。そんな彼女が次に挑んだのは「官能小説」。単なる性愛文学ではない、作品に込めた「元アイドルの悲痛な叫び」とは。
大木亜希子さん/編集部撮影

レズビアン風俗をテーマに選んだ理由

――『小説現代』7月号のNEO官能小説特集に掲載された『MILK』が反響を呼んでいます。特に主人公・藤井楓がレズビアン風俗店に行くシーンが印象的でしたが、なぜレズビアン風俗について書こうと思ったのですか。

大木:女性同士の連帯や絆を表す「シスターフッド」という言葉があります。1960年代後半から70年代前半に世界中で起こった女性解放運動の中でよく使われた言葉です。私はSDN48という女性アイドルグループにいたんですけど、そこではシスターフッドの繰り返しだったんです。

現役卒業後、「メンバー同士は仲悪かったんでしょ」ってことあるごとに、もう100万回くらい言われてきたけれど、敵はメンバーでも運営でもファンの皆さんでもなかった。アイドルという仕事を理解しようとせず、SNSなどで誹謗中傷する人たちがごく少数でもいる中で、どうなるかわからない未来を模索していくためには、互いの精神を思いやるシスターフッドは欠かせないものでした。

そうした経験がある中で、数年前に親しい女友達から女性が女性に性的なサービスをする「レズビアン風俗」を利用したという話を聞いて、性の中にあるシスターフッドに興味を持ったんです。

 

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