なぜピュアな女性ほど沼にハマるのか
――今、レズビアン風俗のようなサービスを必要としている女性が多いということでしょうか。
大木:これも私が常にテーマとして持っていることですが、女性同士って20代後半から30代に入ると結婚・出産やキャリア、家、持ち物など、いろいろな面で互いを比べて、お互いの人生が乖離していくケースがあると思うんです。
そうした中で純粋で真面目な子ほど、その乖離に順応できないでいるように思います。例えば、ちゃんと職を持って自立しているのに、周りが結婚していくことに焦りを感じてしまうとかですね。
挙句、妻子持ちだったり、遊び慣れた年上の男性に引っかかってしまう女性も、同世代を見ていて多くて。焦りや悩みで誰かにすがりたいと思う心の隙間にポンって入ってくるんでしょうね。芸能界でも純粋な子ほど沼にハマっている印象がありました。
もちろん全て計算ずくのしたたかな女性もいますけど、私の周りには添い遂げられない男性を思い続けるピュアな女性が多くて、なんだか人生の一部を搾取されているような憤りを感じていたんです。

――大木さんも32歳になられましたが、男性にすがりたいと感じた経験はありますか。
大木:私の場合は14歳で芸能界に入り、25歳までアイドルをやって、一般的な“人間活動”をしていなかったので、世の中のことすらよくわかっていませんでした。
なので25歳くらいまでは、男性にすがりたいという気持ちよりも「本当の自分」を理解することに必死でした。
ただ、26歳の手前で、アイドルから会社員になった時から、人から評価される仕事でそれなりに稼ぎ、30歳手前で素敵なハイスペ男子と結婚して優雅な暮らしをするんだって当然のように思っていました。
そして、そのために男性ウケするファッションでツヤツヤのリップを塗って、仕事の得意先には可愛らしく振る舞う。
私は「ノルマ飯」って言っていたのですが、男性との食事でスケジュールを埋めることにも一生懸命でした。いいお店に連れて行ってくれる男性なら誰でもよくて、その回数で自分の価値をはかるんです。家族や友人からは「そんな打算的なことをしてるの、亜希子らしくない」って言われているのに、当時はその声すらも聞こえていませんでした。
だから人の愛し方もわからなくて、唯一本気で好きになった男性が一人だけいましたが、その人とも溝が生じてしまった。しかも、その彼は私とお別れしたあと、他の女性と結婚して、子どもまで授かっていて……。
それを知った時に一番心を許した人と上手く関係性を築けなかった絶望感に襲われ、メンタルにエラーが起きてしまったこともありましたね。