元アイドルたちのポテンシャル
――アイドルも人間と言うことですね。
大木:アイドルって長い人生のうちのほんの一瞬のことなんですよね。私も自分がアイドルだった頃はそんなことわからないから「このままマトモな恋愛ひとつせず、名刺の渡し方も知らずに生きていくのか」って思っていましたが、今は一つの生き方として捉えれば全否定はできないと思う。
それが元アイドルだった人たちのセカンドキャリアを追った『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア。』(宝島社)という本を書くことにつながったんですけれども。
恋愛タブーのルールがあるなら守るべきだけれども、今はでんぱ組.incさんやご当地アイドルの先駆けであるNegiccoさんなど既婚者がいるアイドルグループもいます。ファンの方々が受け入れているのであれば、多様性があっていいと思っています。
――セカンドキャリアという話が出ましたが、大木さん自身は元アイドルと言われることについてどう感じていますか。
大木:こうやって作家として小説を発表させていただいている中でも、やっぱり「元アイドルという下駄を履かせてもらっているから注目されるんだよね」というようなことを言う方はいます。
でも、その点においては14歳から続けている芸能生活で、メンタルを鍛えられているので傷つくことはありません。むしろ、これまでの人生は決して順風満帆ではなかったけれども、芸能の世界の真実を見てきた私が驚くような作品を生み出すから、「今に見ていて下さいね!」という気持ちです。
それは私に限ったことではありません。『アイドル、やめました。』にも書きましたが、元アイドルの子ってポテンシャルがすごく高いんです。
3年に一度しか採用試験がないような超難関のラジオ局に入社した元NMB48の河野早紀さんや、偏差値43から猛勉強して難関国立大に合格したリアルドラゴン桜の元SKE48の菅なな子さんのように、自分の人生に責任を持ってしっかりとシフトチェンジしている子がたくさんいるんです。
毎朝4時に起きてその場で振り付けを覚えて劇場で歌い、ファンの人たちと握手して気づいたら深夜みたいな、それぞれ壮絶なスケジュールを経て、自尊心の崩壊を繰り返してきた子たちだからこそ強い。