2021.10.05
# エネルギー

「脱炭素」ブームのウラで、じつは「日本の総合商社」にこれから起きる本当のこと

金山 隆一 プロフィール

「パナマ運河」をどうするか

しかし、前期4000億円の連結純利益のうち、900億円は豪州の鉄鉱石からもたらされており、これに対して電力・環境ソリューション事業はまだ111億円の規模に過ぎない。

化石商社の三菱商事もオランダの再生可能エネルギー会社エネコを4000憶円で買収し、脱化石の戦略を明確にしたが、前期にエネコから得た利益もまだ130憶円にとどまっている。一方で、2019年3月期に5900億円という商社史上最高の連結利益をたたき出した同社だが、その利益の6割以上が石炭(鉄鋼用原料炭)やLNGなど資源ビジネスでもたらされている。

三菱商事の垣内威彦社長。Photo/gettyimages
 

さらに三菱商事はいまもカナダとインドネシアで年産1780万トンという巨大なLNGプロジェクトの開発を進めている。この二つもホルムズ海峡とマラッカ海峡を通過せず日本にLNGを輸入できるが、近年新しく認識されたチョークポイントを通航しないですむのである。そのチョークポイントとは、昨年大渋滞を引き起こしたパナマ運河である。

米東海岸はいまやシェールガスの産出で世界有数の産ガス国となった。東海岸ではそのシェールガスLNGが生産されているのだが、アジアに輸送するにはパナマ運河を通る必要がある。

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