「産まない」と決めたことはなくても

――「選ばない選択肢」に思いを馳せるという意味では、女性にとって一番悩ましい選択のひとつは子を産むかどうか、だと思います。特に鈴木さんのように30代の女性は、出産について悩むことが多いのではないでしょうか。

鈴木:私は先月で38歳になりましたが、本当に産まなくていいのか? という気持ちはあります。また、「産まない」と決めないで月日が流れてしまう場合もあります。私も「結婚しない」「産まない」と決めたことは一度もありませんが、この歳まで独身です。

――上野さんも本で出産するか否かについて「迷いの多い選択の連続」だと語っていますね。

鈴木:パブリックイメージだと「子どもを持たない新しい生き方をする人」という感じがしますよね。でも、この本ではそうではない部分も語ってくれました。

男性は60くらいまで決めることができます。でも、女性は30まで35まで40までと先延ばしできても、その先には越えられない壁があるんです。その分、追い詰められやすい気もしますね。

最終的に産まなかった人も、25歳で産まないという選択をしたわけではありません。35から40くらいで、もしくはもっと早い段階で、そこは考えるべきだったと後から思う場合もあるし、忙しさに身を任せて40過ぎまで来てしまったという場合もある。そういう生々しい悩みは社会制度の男女格差が是正されても解決しないと思います

写真はイメージです〔PHOTO〕iStock
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――ある意味、経済的に自立しているからこそ決断が先延ばしになっているとも言えますね。

鈴木:今は女性が結婚しなくてもひとりで身を立てることができます。「結婚しない」という選択肢もあるがゆえに、結婚→出産と強く思い切ることができない側面はあると思います。

子供を産まない自由はあるべきだとは思いますが、このままだと深刻な少子化になるのではないでしょうか。同性婚や夫婦別姓といった、結婚をより自由なものにする、幅を広げる運動は盛んなのですが、結婚外の形式の家族の形を認める運動はそれほど盛んではないですよね。

今の「一夫一妻」という結婚が原則の制度を廃止した方が、少子化は避け得ると個人的には感じます。そして、結婚外で子供を育てる人の社会保障を厚くするべきではないかと。