日本のエネルギー効率の良さも追い風だ
確かに、日本はエネルギーや食料でインフレに対して脆弱だ。カロリーべースで計算した食料自給率は38%しかない。また、原油をはじめとするエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っていることは大きなリスク要因だ。第2次オイルショック当時からこの問題点はあまり解決されていない。
しかし、日本のエネルギー効率の良さはオイルショックによるところが大きい。このオイルショックのトラウマは良い方向に日本を導いたといえる。
二酸化炭素の排出量は、中国と米国だけで世界の半分近くを占めるが、日本は3~4%弱である。
「脱炭素教」がどのようなものなのかは、8月22日公開の「脱炭素・EV推進、『合理的な科学的根拠がない』この方針は、もはや『宗教』だ」で述べたが、「環境技術」は、「省エネ技術」に直結する。日本の工業生産などにおけるエネルギー効率は、各種指標で見て世界トップクラスだ。
共産主義中国はもちろんのこと、「環境」を声高に叫ぶ欧州や同じく脱炭素を推進する民主党が政権を獲った米国も歯が立たない。
だから、エネルギー価格が高騰すれば、エネルギー効率が悪い中国で生産するよりも「日本で生産した方が合理的」になる。エネルギー輸入国であるというハンディ(中国も基本的には同じ)はあるものの、世界第一級のエネルギー効率がインフレ(エネルギー価格高騰)において有利に働くのだ。
したがって、インフレの負の側面を甘く見てはいけないが、むやみに恐れる必要はないと考える。
デフレとインフレではまったくゲームのルールが変わる。「ゲームチェンジ」に乗り遅れてはならない。時間の猶予は余りない。