初めて知った「やりたい」という気持ち

黒田先生は世界史を担当していて、ちょうどその頃、宗教の成り立ちを習ったことから、私たちは、先生を田舎の弱小テニス部に舞い降りた救世主という意味で、「メシア様」と裏で呼んだ

メシア様こと黒田先生と。写真提供/バービー

私たちの士気の高さを察してか、あだ名に反して、メシア様の指導はどんどん容赦ないものになっていった。始めて数ヶ月の初心者相手にバコンバコン手加減なしに打ちのめしてくる。インカレ出身者の豪速球に、ダチョウ倶楽部さんのお約束「押すなよ!押すなよ!(押して)」並みに、心の中では、打ちこまれるのを期待し、目を爛々とさせたものだ。

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それまで無気力に生きていて「楽しい」という感情がわからなかったが、無心にボールを打っていると、初めて自分の中に「ちょっとやりたいかも」という感情が芽生えた