危機は年末にやってくる
救急医療の現場では、すでに患者の「選別」が始まっている。東京都文京区の日本医科大学付属病院は重症患者に対応する3次救急の指定病院だ。8月6日、31件の患者受け入れ要請があったが、対応できたのは8件だけだった。つまり、20人以上の患者が事実上「たらい回し」にされていたわけだ。
医療崩壊が確実に始まりつつあるなかで、高齢者の抗体価はますます下がっていく。
日本はイスラエルやイギリスから遅れること5ヵ月、今年の5月から高齢者の大規模接種が始まった。開始当初はペースが遅かったことを考えると、約半年の遅れだといえる。ワクチン先進国では6月に再びコロナ急増したので、日本でワクチンの効果が薄れて再び感染者が急増し始めるのは12月頃だろう。
恐れるべきはワクチン効果の低下だけではない。その頃にはさらに感染力の強い新型の変異株も生まれているかもしれない。8月6日には、南米で広まっているラムダ株の感染者が日本で初めて確認された。加えて、オリンピックでの人流も無視できないだろう。
5月に猛威をふるったアルファ株がすでにデルタ株に置き換わったことを考えれば、12月に流行するのは新しい株になる可能性が極めて高い。
年末には、若い世代もほぼワクチンを打ち終わっているだろう。若者たちは2年近くに及んだ自粛生活の憂さを晴らすように飲み会やカラオケに興じるに違いない。そして新株のブレイクスルー感染が拡大する。割を食うのは、ちょうど抗体の弱まってきている高齢者層だ。