【前編】はこちら「安倍晋三「菅おろし」の全内幕…「主人はお芝居がうまいから」と昭恵夫人は笑った」
もはや「影の総理」
コロナ禍に加え、五輪延期を強いられた1年前の安倍政権は、支持率が3割台まで落ち込んでいた。総理を続けていたら、いまごろ国民から総叩きに遭っていたのは菅ではなく安倍だったはずだ。
だが、重病となれば話は百八十度変わる。志半ばにして、病によって再び倒れた悲劇の宰相。そんな印象を国民に残し、拍手で見送られながら舞台を降りられる—。
安倍にとって、「お芝居」を打つ動機は十分すぎるほどにあったというわけだ。
時計の針を現在に戻せば、安倍の残した山のような宿題を押し付けられた菅は、就任からわずか1年も経たないうちに、満身創痍でノックアウト寸前となっている。

一方の安倍はといえば、元気ハツラツだ。
総理官邸から、衆議院第一議員会館12階の狭い事務所へ戻った安倍のもとには、来訪者が引きも切らない。安倍の出身派閥・清和研の自民党議員が話す。
「議連の提言書を確認してもらったり、今はコロナで延期になっていますが(政治資金)パーティーの講師を頼んだり、地元の選挙応援に来てくれるようにお願いしたり。電話一本入れれば気軽に会ってくれるし、暇なのか二つ返事で引き受けてくれる。体調が悪い素振りも全くない。
官僚も、もう来年度予算の概算要求について安倍さんに根回しを始めています。いまや安倍さんが『影の総理』ですよ」
さらに、ある自民党幹部も明かした。