時代が変われば葬り方も変わる
以前、講演をするために青森を訪れたことがあります。そのとき、地元の人たちから「位牌堂」というものがあるということを聞きました。

私はそれまで位牌堂の存在自体を知らなかったので、見学をさせてもらいましたが、それは、寺のなかにあり、仏壇が並んでいるものでした。いま増えている納骨堂に近いもので、それぞれの家は、仏壇を借りて、そこに位牌を納めるのです。
仏壇のなかには大きなものもあり、それは位牌堂の本尊の近くにあり、大きさもかなりありました。小さなものは、本尊から遠く、3段重ねになっていました。もちろん、大きさによって、料金が異なるのです。
地元の人たちは、家には仏壇があり、墓もあるのに、位牌堂に金をかけるのは無駄ではないかという話をしていました。
おそらく昔は、個々の家で墓は造らず、供養をするというときには位牌堂の位牌がその対象になっていたのでしょう。そうしたこともいまでは忘れ去られ、なぜ位牌堂まであるのかという疑問の声が上がるようになったのです。
墓に遺骨を納めるという習俗は、火葬が普及してからのものになるわけで、長い歴史を持っているというわけではありません。そして、葬り方も時代とともに大きく変わっていきます。決して、昔通りのやり方がそのまま現代にまで受け継がれているというわけではないのです。