片親家庭の48%、子どもの7人に1人が貧困
なぜ、この子どもや子育て家庭に速やかな支援が差し伸べられないのか?
コロナの前から、日本の子どもの貧困は大きな問題でした。日本の子どもの貧困率は13.5%、およそ7人に1人の子どもが貧困です。ひとり親家庭の貧困率は48.1% で、先進国の中で最悪です。政府も様々な取組を始めていますが、根本的な解決のために児童手当の増額や、困窮子育て家庭への手当ての増額や給付対象者の拡大は、非常に重要です。日本は他の国々に比べて、児童手当や保育園への補助などの家族政策支出、授業料無償化などの教育支出に関して、税金で賄っている比率が大変低いのです。普段から子育て家庭への国の支援が少なく、パートやアルバイトをWワーク、トリプルワークしながら頑張っていた多くの困窮子育て家庭が、コロナで働けなくなった時に危機に陥るのは当然です。

日本の子どもたちは、平時でも政府からの支えが少なく、コロナのような災害時にも支えてもらえない、お腹が空いてもただただ我慢するしかない、という状況です。「自助・共助・公助」という言葉や、「最後には生活保護がある」というような菅総理の発言には、私は大きな違和感を覚えました。すでに自助ではどうしようもなく、共助もやりきって、公助しかないですよと、いくら訴えても、それが聞き入れられているとは思えません。コロナ禍からすでに1年半、お母さんたちは「明日子どもの食べさせるものがない」「来月の生活費が足りない」「公共料金の引き落としができていない、明日止まってしまうのではないか」「スマホが明日で止まる。助けを求めることもできない」そんな心配をずっと続けています。そして、もう疲れ切っています。心身の病気になる人も増えています。
経済を回すことはもちろん大事です。タイミングの是非はあれど、Gotoトラベルに膨大な費用を使ったのも、経済を回すためでしょう。しかし、子どもの命を助けることも同じように大切です。同じように迅速に支援をすることにもう少し、積極的になってもいいのではないでしょうか?
私たちは仲間と一緒に、昨年のコロナ以後、困窮する子どもたちに現金給付をお願いしますと、ずっと政府にお願いしてきました。その度に、インターネット署名を行い、アンケート調査を行い、レポート作ってエビデンスを示し、記者会見を行い、政府や政治家の方々にお願いに回ってきました。2020年度は、努力して努力して、ようやく、ひとり親で困窮する家庭には1人には子ども一人につき3〜5万円が3回、困窮する二人親家庭には1回だけ支給が決定されました。そして、2021年の夏休みも支給して欲しいとずっとお願いしてきましたが、結局給付は決定されませんでした。
私は、政府へのお願いを続けながら、「もし、私たちがお願いしなければ、政府はご飯も食べられないような子どもに1円のお金も給付しないのだろうか?」と大変怖くなりました。考えたくはありませんが、「子どもを見殺し」「困窮者を切り捨て」というような言葉が頭をよぎります。子どもに食べさせることができない親は、自分の食事を極端に減らしています。「親は1日1食になれました」「自分(親)はほとんど食べていないので、食糧支援が届いたので私も食べられます」こんな人に食品も現金も配らないまま放置をしているのです。
困窮子育て家庭に現金給付ができない様々な理由が政府にはあるのかもしれません。与野党かかわらず、政治家の方々に現状を伝え、現金給付をお願いに行くと、皆さん、中には涙ぐみながら「なんとかしたい。動いてみます」とおっしゃってくださいます。しかし現実としては現金給付が決まりません。なぜなのだろう? ずっと考えています。